むしゃくしゃしてi7-4770K+H81M-ITX機を組んでから9年が経った。導入当時、当研究所で最速を誇ったPCだったが、いまや日常使いのi7-8700T+H310I PRO機にも劣る始末である。それに気づいたらまたむしゃくしゃしたので、登場して間もないAlder Lake-Sで組んでみることにした。
構成は以下のとおり。
予算の都合により、CPUはi5-12600、メモリはDDR4 SDRAMである。マザーボードはもっと安価でシンプルなものにしたかったのだが、あいにくH670M-ITX/axしか入手できなかった。
ほかのパーツは、これといったこだわりはなく、適当に選んだ。HDDはi7-4770K+H81M-ITX機からの流用だが、2021年9月末に導入したばかりのものである。
OSはWindows 10だ。H670M-ITX/axにはWindows 11向けのドライバがあるので、Windows 11の導入もちょっと考えたのだが、現時点では使い勝手が変わることのデメリットが大きいと判断し、Windows 10に据え置くことにした。
各パーツを所定の位置に取り付けて配線するだけなのだが、内部にあまり余裕がないBettyではそれなりに苦労する。前後にファンを取り付けるとなおさらだ。SSDがマザーボードに直接搭載されてケーブルが減ったとはいえ、取り回しには苦労する。

Bettyへの組み込み
BettyはHDDの後ろに余裕がなく、接続するケーブルはL字型のコネクタを持つものが望ましい。KRPW-SX400W/90+のコネクタはストレートなので、アイネックス SA-085LAで変換している。SATAケーブルは片下L型のものだ。
フロントファン CFY-80SはH670M-ITX/axのCHA_FAN2に接続した。リアファン CFZ-60F×2は、ファン用二股電源ケーブル アイネックス CA-084でひとまとめにして、CHA_FAN1に接続した。
H670M-ITX/axのCPU用電源はEPS12Vコネクタ (8ピン)なのだが 、KRPW-SX400W/90+のCPU用電源はATX12Vコネクタ (4ピン) である。だが、H670M-ITX/axの取扱説明書によると、4ピンでもよいらしい。取扱説明書にあるとおり、1ピン-5ピンにあわせて取り付けた。
また、POWER LEDとHDD LEDのリードとケーブルが切れていたので、はんだ付けをして直しておいた。でも、この構造だとまた切れるだろうな。まあ、そのときはそのときか。

LED補修箇所(右上)
そんなこんなで格闘すること半日、なんとか組み終えた。PCを組み立てとしては、だいぶ時間がかかったといってよい。Bettyのせいなのだが、いまとなっては貴重な5.25インチオープンベイを持つMini-ITXケースなので、大事に使っていきたい。
組み立て終了→Windows 10のインストールメディア(USBメモリ)挿入→PCの電源投入→指示にしたがってWindows 10をインストール→あらかじめダウンロードしておいたドライバ導入→フリーソフト導入→終了。
続いて、i7-8700T+H310I PRO機と同様、Windows 2000っぽい操作感覚が得られるようにする。ただし、「視覚効果」タブで「パフォーマンスを優先する」を選択した後、「スクリーン フォントの縁を滑らかにする」はONにしている。いまとなっては、こうしないとWebの表示が見苦しいからだ。
当研究所で使うソフトウェアは少なく、周辺機器もないので、環境構築はあっさり終わった。それでは、当研究所最速となったPCの実力を見てみよう。
Windows エクスペリエンス インデックスは、グラフィックスのサブスコアが最も低く、8.1となった。だが、当研究所が重視するのはプロセッサだ。そのサブスコアは9.2。

Windows エクスペリエンス インデックス
i7-8700T+H310I PRO機のプロセッサのサブスコアは9.3だったので、むしろ下がっている。ベース周波数はi7-8700Tが2.4GHz、i5-12600が3.3GHzで、i5-12600のほうがずっと大きいのだが。後述するが、実際の処理速度(AviUtlによるエンコード)は本機の圧勝である。
i5-9500T+H310I PRO機とi7-8700T+H310I PRO機、本機(i5-1260+H670M-ITX/ax機)で、同じファイルをエンコードしてみた。動画編集ソフトウェアはAviUtl、コーデックはH.264/MPEG-4 AVC、動画の長さは約23分だ。
| CPU | コア数 | スレッド数 | ベース周波数 | ターボ·ブースト利用時の最大周波数 | マザーボード | エンコード所要時間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| i5-9500T | 6 | 6 | 2.2GHz | 3.7GHz | H310I PRO | 79分48秒 |
| i7-8700T | 6 | 12 | 2.4GHz | 4.0GHz | H310I PRO | 72分32秒 |
| i5-12600 | 6 | 12 | 3.3GHz | 4.8GHz | H670M-ITX/ax | 58分50秒 |
エンコードに要した時間は、i5-9500T+H310I PRO機の74%、i7-8700T+H310I PRO機の81%である。処理速度にすると、i5-9500T+H310I PRO機の1.356倍、i7-8700T+H310I PRO機の1.233倍速いということになる。どちらかというとベース周波数の比率よりもターボ·ブースト利用時の最大周波数の比率に近い。
続いて、Core Temp 1.17.1で、アイドル時とエンコード時のCPUコアの温度を測定してみた。室温は約20℃。アイドル時に25℃から28℃だったコア温度が、エンコード中は50℃から62℃まで上昇している。コア毎にかなりばらつくが、負荷との相関はなさそうだ。

コア温度 アイドル時

コア温度 エンコード中
エンコード中の動作周波数は4.6GHzで、ターボ·ブーストが機能していることがわかる。おそらく、i5-9500T+H310I PRO機やi7-8700T+H310I PRO機でもターボ·ブーストが機能するため、処理速度の比率がターボ·ブースト利用時の最大周波数の比率に近くなるのだろう。
AviUtlによるエンコードでは、ターボ·ブーストが機能していても各コアの負荷は小さく、Tj maxの100℃まで余裕があるので、まだまだ余力を残していそうだ。できることならすべてのコアをフル稼働しているところを見てみたいが、当研究所ではそのような状況になることはなさそうなので、ここまでにしておく。
再び冬のボーナスの大半を投入したにもかかわらず、製作者は「TDP 65WのCPUなんて電気代が恐ろしくて使いたくない」などと意味不明な供述をしており、当研究所は責任能力の有無ともに、過去の経緯についても調べている。
Alder Lake-S…おそろしい子!いやマジで。