これまで、当研究所の公用車 スバル プレオ F Specialでは、ドライブレコーダーとしてPAPAGO GoSafe 381を活用してきた。GoSafe 381の画質に不満はないのだが、GPS非搭載の1カメラ機は時代にそぐわなくなりつつある。万が一のときに備えて正確な座標と時刻を記録しておきたいし、いま流行りのあおり運転に対抗するにはリアカメラがほしい。
そんなわけで、スバル プレオ F Specialのドライブレコーダーを、ダイハツ ミライース L “SA Ⅲ”での運用実績があるKENWOOD DRV-MR745にリプレースすることにした。本記事はその作業の記録、およびインプレッションである。

KENWOOD DRV-MR745
仕様等はダイハツ ミライース L “SA Ⅲ”へのドライブレコーダ取り付けを参照のこと。
道路運送車両の保安基準によると、フロントカメラは、ガラス開口部の実長の20%以内の範囲、または車室内後写鏡により遮へいされる前面ガラスの範囲に取り付けなければならない。そして、雨天を想定すると、ワイパーが届く範囲が望ましい。そこで、そのような場所を見極めるため、フロントガラスに水を垂らし、ワイパーで拭き取った上限にマスキングテープで印をつけてみた。

マスキングテープによる位置決め
カメラの撮影範囲内でワイパーの拭き取り範囲を最大にできる位置は、運転席の中心部である。ドライバーの視野確保のため、運転席側のワイパーは運転席中心で頂点になるので当然だろう。だが、そこにフロントカメラを設置してしまうと、ドライバーの視界を大きく遮り、運転に支障をきたす。具体的には、信号機の手前で停車すると信号機が見えなくなる。ここに設置するわけにはいかない。
ドライバーの視野を確保するには、カメラを助手席側へと近づけていけばよいのだが、カメラを助手席に近づけるほどワイパーの届く範囲が低くなり、それにあわせてカメラの位置を下げると、これまた視界を遮ってしまう。視界を確保をするためには、カメラは最上部に取り付けるしかない。また、フロントカメラのケーブルは側面に挿すので、カメラを助手席に近づけすぎると、バックミラーと干渉してしまうという制限もある。
紆余曲折と試行錯誤の結果、フロントカメラの取り付け箇所は写真の位置になった。この位置であれば、撮影範囲の下方3分の1程度がワイパーの拭き取り範囲になる。十分な車間距離があっても先行車のナンバープレートは拭き取り範囲内に入るので、実用上は問題ないはずだ。

フロントカメラ
ちなみに、フロントカメラをこの位置に設置するにあたり、ETC車載機のアンテナは運転席側のAピラー近くに移動させてある。
リアカメラは、ミライース L “SA Ⅲ”と同様、ルーフライニングクリップを利用して取り付けた。アルミ板で作成したプレートにテープでリアカメラを取り付け、そのプレートをルーフライニングクリップで天井に取り付ける手法である。ただし、プレオ F specialにはルーフヘッドライニングリヤトリムカバーがないので、配線はCピラーの内張りの隙間から引き出すことになる。

リアカメラ
プレオ F specialには3個のルーフライニングクリップがあるので、中央のルーフライニングクリップにリアカメラを固定した。ケーブルは助手席側のウェザーストリップへと引き込むので、その間でケーブルが垂れないよう、マウントベースと結束バンドをアルミ板に貼り付け、助手席側のルーフライニングクリップを利用してケーブルを固定した。
電源は、付属のシガープラグコードを使わず、オウルテック OWL-ADDCU2U2(B)/ECのUSBポートを利用した。OWL-ADDCU2U2(B)/ECのUSBポートは2.1Aと1Aがそれぞれ1個ずつあるが、DRV-MR745は1A側に接続している。DRV-MR745の消費電流は最大2Aとのことなので、いまのところは問題はないが、もしかすると不具合が発生するかもしれない。

オウルテック OWL-ADDCU2U2(B)/EC
DRV-MR745とOWL-ADDCU2U2(B)/ECの間の配線は、GoSafe 381で使っていたUSBケーブル サンワサプライ KU-SLAMB525BK(2.5m)をエレコムU2C-DE05BK(50cm)で延長したものを使っている。配線ルートは、ルーフ裏からAピラー内部、グローブボックス裏を経由してOWL-ADDCU2U2(B)/ECとなる。

Aピラー内部

グローブボックス裏
フロントカメラとリアカメラの接続は、付属の車外後方撮影用カメラケーブルを利用している。長さが8mもあるので、軽自動車のプレオ F Specialではだいぶ余ってしまう。そこで、ミライース L “SA Ⅲ”と同様、いったんAピラーを経由してグローブボックスの裏でまとめ、再びAピラーを経由して助手席側のフロントドア、リアドアのウェザーストリップ内部を通し、後方まで必要な長さを配線した。
記録された映像をAviUtl version1.10でキャプチャし、IrfanView Version 4.57-64bitで50%にリサイズしてみた。リサイズとJPEG化による劣化があるので、あくまで参考ということで。
まずは晴天時。順光、逆光のいずれでも、同一車線はもちろん、隣の車線にいる車のナンバープレートが読み取れる。車種や車間距離にもよるが、条件が整えばリアカメラは運転手の表情まではっきりとわかる。

茨城県道50号 水戸神栖線 県庁西 フロントカメラ(2021年4月18日 11:31)

茨城県道50号 水戸神栖線 県庁西 リアカメラ(2021年4月18日 11:31)

茨城県道50号 水戸神栖線 サントル千波 フロントカメラ(2021年4月18日 11:13)

茨城県道50号 水戸神栖線 サントル千波 リアカメラ(2021年4月18日 11:13)
やや雲がある日でも問題ない。フロントカメラとリアカメラでだいぶ色合いが違うが、なんらかの補正機能がはたらいているのかもしれない。

国道50号 笠原町中央 フロントカメラ(2021年3月7日 13:56)

国道50号 笠原町中央 リアカメラ(2021年3月7日 13:56)
日が沈みかけた夕方でも前後の車のナンバープレートがはっきりと読み取れる。とはいえ、これより暗くなると、ライトを点灯しないと厳しいかもしれない。

水戸市道 河和田176号 水戸市河和田町 フロントカメラ(2021年3月26日 17:21)

水戸市道 河和田176号 水戸市河和田町 リアカメラ(2021年3月26日 17:21)
フロントカメラの下部1/2から1/3程度しかワイパーが届かないため、雨天時に水をはじいた状態で撮影できる範囲は限られる。それでも、先行車のナンバープレートは読み取れる。リアカメラはほぼ全域がワイパーの可動範囲に入る。

広域農道バードライン 市道五差路 フロントカメラ(2021年3月13日 9:52)

広域農道バードライン 市道五差路 リアカメラ(2021年3月13日 9:52)
夜間の市街地は思ったりもきれいに撮影できる。後続車はヘッドライトを点灯しているが、ナンバープレートだけではなく、運転手の表情まで映っている。

国道407号 太田市役所南 フロントカメラ(2021年3月11日 19:33)

国道407号 太田市役所南 リアカメラ(2021年3月11日 19:33)
晴天の昼間であれば、走行中でも対向車のナンバープレートがフロント、リアともにはっきりとわかる。制限速度40km/hの道路なので、相対速度は80km/h程度と思われる。先行車と後続車のナンバープレートは確認できないが、十分な車間距離をとっているためだと思われる。見たくはないが、衝突直前ならきれいに映るはずだ。

水戸市幹線市道18号 千波·河和田線 水戸市河和田町 フロントカメラ(2021年3月7日 13:17)

水戸市幹線市道18号 千波·河和田線 水戸市河和田町 リアカメラ(2021年3月7日 13:17)
高速道路では並走する車のナンバープレートがはっきりとわかる。路上で停止でもしない限り、一般道での対向車よりも速度差が小さく、きれいに映るのかもしれない。太陽を背に受けた状態のせいか、フロントカメラとリアカメラでかなり色合いが違う。

常磐自動車道 121.7kmポスト付近(下り) フロントカメラ(2021年3月6日 12:06)

常磐自動車道 121.7kmポスト付近(下り) リアカメラ(2021年3月6日 12:06)
常磐自動車道のトンネル内でトラックに追い越しをかけられているところ。リアカメラ、フロントカメラともに地名と分類番号の読み取りは難しいが、一連指定番号はかろうじて読み取れる。速度が0km/hと表示されているのは、トンネル内でGPS信号をロストしたためだと思われる。リアカメラの映像はオレンジ色がかかって見えるが、トンネル内照明はナトリウムランプなので、リアカメラの映像のほうが現実に近い色味のはずだ。

常磐自動車道 助川トンネル(上り) フロントカメラ(2021年3月6日 14:09)

常磐自動車道 助川トンネル(上り) リアカメラ(2021年3月6日 14:09)
夜間になると、さすがにナンバープレートの読み取りは難しいようだ。とはいえ、車種の特徴や動きはわかるので、得られる情報はそこそこあるといえるだろう。

国道50号 水戸市見川町 フロントカメラ(2021年3月11日 21:02)

国道50号 水戸市見川町 リアカメラ(2021年3月11日 21:02)

埼玉県道276号 新堀尾島線 熊谷市永井太田 フロントカメラ(2021年4月12日 21:45)

埼玉県道276号 新堀尾島線 熊谷市永井太田 リアカメラ(2021年3月12日 21:45)
雨の夜、あえてリアワイパーを可動させずに走ってみた。ワイパーが稼働しているフロントカメラはワイパーが届く範囲ではそれなりに撮影されているが、ワイパーが届かない部分はフロントガラスに付着した水滴で画像がにじんでしまう。ワイパーを稼働させていないリアカメラにいたっては、もはやなにがなんだかわからない。いわれてみれば車が映っているというのがわかるレベル。クリアな映像がほしければ、リアワイパーを可動させておく必要がありそうだ。

那珂市道6-0029号 那珂市中台 フロントカメラ(2021年3月13日 21:01)

那珂市道6-0029号 那珂市中台 リアカメラ(2021年3月13日 21:01)
停止時はほぼどんな状況でもクリアな映像が記録できるといってよさそうだ。走行時は周囲の明るさに依存し、昼間や十分な明るさがある環境であればまあまあクリアな映像となるが、夜間はそこまで期待できない。とはいえ、事故であれば直前に大接近するはずだし、あおり運転であれば速度差がなくて車間が小さく、最後は車を停めさせられることも多い。そのような状況を検証するわけにはいかないので推測になってしまうが、必要な情報は記録できるだろう。
カメラの性能は十分満足できるものだ。昼間はもちろん、夜間や雨天でも必要な情報をきちんと記録することができる。時刻は秒単位で記録されるし、速度や座標も残るので、いざというときに大いに役立つだろう。本記事では触れなかったが、設定画面のメニューと操作がわかりやすいことも高く評価したい。総合的には十分満足できる。
それでも、不満がないわけではない。それは、microSDHCメモリカードに空き容量があっても一定時間しか記録してくれないことだ。カード容量32GB、解像度設定1080pの場合、記録時間は1時間30分で固定されてしまう。映像1分あたりのファイルサイズはフロントカメラ、リアカメラともに約120MBなので、消費する容量は約20GBだ。microSDHCメモリカードのおよそ1/3が常に余った状態になる。余裕を持たせた設計なのかもしれないが、PAPAGO GoSafe 381は容量ぎりぎりまで記録する仕組みだったので、ちょっともったいないと思ってしまう。
また、画角が広すぎて、微妙な気がしないでもない。距離感がやや不自然な気がする。特に、前後の車との距離は、実感よりもかなり離れて見える。万が一に備えてなるべく多くの情報を記録するという目的としては正しいのだが、前述の容量の問題もあり、アクションカメラの代わりとは考えないほうがよい。また、この画角はSUVやミニバンのような車種でこそ役に立つのだろう。軽自動車、しかもハイト系ではないプレオ F Specialでは、少々持て余し気味なのかもしれない。
microSDカードスロットがフロントカメラの下部にあるのは、抜き差しが容易で地味にありがたい。取り出すことはめったないと思うが、この記事の執筆には便利だった。
フロントカメラの位置決めと、リアカメラの配線の取り回しに少し苦労したものの、その苦労をはるかに上回る価値がある。プレオ F Specialのように舐められやすい車ではなおさらだ。
本機が役に立つ機会がこないことを願いつつ、本機をきっかけとして今後も安全運転に努めるようにしたい。