できるだけ小さくてそこそこの性能のPCがほしいとの依頼を受け、小型PCを製作することになった。せっかくなのでその顛末を備忘録としてまとめてみた。

製作した小型PC
できるだけ小さくという依頼なので、フォームファクタはMini-ITXで決まりだ。その中でもできるだけ小さいケースを使いたい。そこそこの性能というのがどの程度なのかいまひとつはっきりしないが、CPUオンボードマザーでは力不足な気がする。システムはSSD、データはHDDに分けたいし、光学ドライブも積みたい。電源はケース内部に収めたい。さまざまな思案と逡巡と葛藤と妥協を重ねた結果、以下の構成になった。
小型であることが最優先なので、まずはケースから。PC-Q02Bは、光学ドライブとストレージ×2を搭載可能、かつ電源ユニットを内蔵できるケースとして、おそらく現時点で最小のケースだ。ただし、光学ドライブはスリムドライブ、ストレージは2.5インチに限定されてしまうが。
OSはWindows 7 Home Premium 32bit版。依頼元の使いかたではProfessionalは不要だし、64bit版は時期尚早だろうと判断した。
CPUはPentium G2100T。TDPが35Wと小さく、内部が狭い小型ケースには最適だ。エントリクラスのCPUだが、そこそこの性能にはたぶん届くはず。CPUクーラーは背が低いものでないと電源と干渉してしまうので、KOZUTI「小槌」を選んだ。
マザーボードはH77M-ITX。これでなければという理由はなく、Mini-ITXフォームでIvy Bridgeに対応していればなんでもよかった。OSが32bitなのでメモリは4GBで十分。システム用SSDとデータ用HDDはメーカやブランドにこだわりはないので、なんとなく選んだ。容量はそれぞれ128GB、1TBあれば十分だろう。
光学ドライブは、PCワンズで安く売られていたあやしげなUJ240だ。機能制限とはBlu-ray Discへの書き込みができないことなのだが、依頼元がこの機能を使うことはないのでよしとする。このドライブはSlimline SATAなので、ノーマルのSATAへの変換機器が必要だ。今回はセンチュリー SLS-SATAを使った。
電源はケースに付属してきたもの。容量は300W。それほど大容量というわけではないが、CPUの消費電力が小さく、ビデオカードを搭載しない今回の構成ならこれで十分だろう。
マザーボードに付属するSATAケーブルは長すぎて使い勝手がよくないので、HDD用とSSD用に35cmのものを2本、光学ドライブ用に15cmのものを準備した。キーボードとマウスは依頼元が準備してくれるそうなので、ここでは検証用にジャンク品を準備した。それぞれ100円。安い。
あらかじめマザーボードにCPUとCPUクーラー、メモリを取り付けておく。今回の構成では、CPUクーラーを先に付けてしまうとメモリが挿せなくなる。メモリを先に挿そう。
PC-Q02を箱から出し、サイドパネルを外す。ねじ止めではなく、車の内装のようにクリップで固定されているので、サイドパネルを外側に向かって引っ張ると外れる。マザーボードを固定するスペーサはなぜかミリねじだった。ケースに付属するねじはミリねじなのでそれを使えばよいが、一般的なインチねじは使えない。
光学ドライブの取り付けは見たとおりだが、困ったことにケース側にもドライブ側にも固定用のねじがない。たまたま手元にM2のねじがあったので、それで固定しておいた。バルク品恐るべし。
SSDとHDDは、専用のゴム製の脚を介して底部の2.5インチトレイに取り付ける。静音では有利だろうが、ケースから浮いてしまうので放熱では不利になるような気がしないでもない。また、トレイを固定するねじの背が高すぎてSATAコネクタと干渉してしまうため、手持ちのねじと交換した。
ドライブ類が固定できたら、各種ケーブルを接続する。電源ボタンとマザーボードをつなぐケーブルが固く、隣り合うピンになかなかうまく入らない。暇があればケーブルそのものを作り直したいところだ。 逆にフロントのUSB3.0端子につながるケーブルのコネクタが緩く、そのうち抜けそうで少し心配だ。電源にはFDD 4ピンコネクタがついていて、こんなもの使い道はないだろうと思っていたら、SLS-SATAで使うことになった。
PC-Q02Bのような小型ケースでは、内部がケーブルだらけになって収拾がつかなくなったりするものだが、本構成ではすっきり収まった。主電源ケーブル、SATAケーブルともに長さがちょうどいいからだろう。

PC-Q02Bへの組み込み
背面の配線はHDMI接続にするとすっきりする。キーボード、マウス、LANをすべてワイヤレスにするともっと配線が少なくてすむ。電源ケーブルが真ん中付近から生えるのは正直微妙だが、こればかりは構造上どうしようもない。

背面の配線
この状態で電源ON、問題がないことを確認してOSをインストール。サイドパネルやSSD、HDDの取り付けでやや戸惑ったところはあるものの、それほど苦労することなく組むことができた。
そこそこの性能という要求に応えているのか確認するため、Windows エクスペリエンス インデックスを測定してみた。

Windows エクスペリエンス インデックス
2010年2月にWindows 7を導入したAthlon X2 5050e+M4A78-EM機と比べると、グラフィックス以外のスコアは上回っている。依頼元では簡単な事務処理とWeb閲覧くらいしないと聞いているので、これなら問題なく使えるだろう。
それよりも気になるのはCPUやそのほかのパーツの温度だ。ケーブルがすっきり納まったとはいえ、ケース内部にあまり余裕はない。エアフローは電源のファンに頼り切りだ。ストレージデバイスは限界の3台まで搭載している。いくらCPUのTDPが小さいとはいえ、内部の温度上昇がどのくらいかは知っておきたい。
そこで、Core Temp 1.0 RC4でCPU温度を調べてみた。アイドル時が26℃、Prime 95を15分実行した後の最大が45℃となった。思ったほどCPU温度は上がっていない。

CPU温度
ついでにSSDとHDDの温度をCrystalDiskInfo 5.3.1で調べてみた。SSDはアイドル時が28℃、Prime 95実行後が27℃だった。なぜか温度が下がっている。HDDはアイドル時が25℃、Prime 95実行後が27℃だった。Prime 95はCPUとメモリにしか負荷をかけないので、システム全体の排熱がうまくいっていればストレージは影響を受けないはずだ。本機も排熱がきちんと機能しているということだろう。

SSD温度
絶対値がどのくらいあてになるかはわからないが、これなら夏場でも十分運用できそうだ。
小型ケースとしてありがちなケーブル取り回しの苦労もなく、あっさりと組むことができた。できるだけ小さくてそこそこの性能という依頼元の要求にはきっちりと満たしているようだ。いまのところ不満はないとのこと。
最後に、このスペックならメーカー製PCを買ったほうが安いとかいうツッコミはなしで。