日本縦断。憧れの旅である。ある者はバイクで、またある者は自転車で、さらに強者は徒歩で旅をする。そんな中、ただ単に車で縦断したのではつまらない。そこで、ちょっと変わったルールの日本縦断をやってみることにした。そのルールとは、日本中の県道1号を一気に制覇すること。こんなアホなことを実行するのはたぶん日本で10人もいないだろう。
思いついたら実行あるのみ。人と違うことをするのって大事だよね。
県道1号。その名のとおり県道のNo.1だ。一般に、県道の中でも一桁および二桁の番号のものは主要地方道として一般県道とは区別される。つまり、県道1号は県道のエリートともいうべき主要地方道の中で、さらにトップを張るべき存在といってよいだろう。
でも県道1号はあくまで県道であって、国道ではない。では、主要地方道と国道の違いはなんなのか。
国道は道路法第五条で規定されている。大雑把に要約すると「高速自動車国道とあわせて全国的な幹線道路網を構成し、かつ、国土を縦断、横断、または循環して重要都市を結ぶ道路」、および、これらの国道と主要な都市や港湾、飛行場、高速道路を結ぶ道路で、政令で指定した道路となる。前者が一桁あるいは二桁の国道で、後者はそれらの間を結ぶ三桁国道と思えばだいたい間違いないだろう。
一方、県道はどういう道かというと、「地方的な幹線道路網を構成し、かつ、市と市を連絡する道路等の要件に該当する道路で、都道府県知事がその路線を認定したもの」となる。そして、これら県道の中で「主要なものであるとして国土交通大臣が指定した道路」が主要地方道となる。高速自動車国道や一般国道と一体となって広域交通を担う幹線道路というのがその位置づけとされている。
違いがわかったようなわからないような。地方の中小都市間を結ぶ県道のうち国土交通大臣が指定してくれたものが主要地方道らしい。なんとなく利権の香りがするけどまあいいや。
都道府県の数は47あるが、県道1号は複数の県にまたがっていたり、都道府県によっては欠番のところもあるので、現在のところ県道1号は全部で25路線。北は北海道から南は鹿児島まで、10日間の休暇を利用して走り抜くのだ。
2008年10月4日、午前2時。さんふらわあ しれとこにて大洗港を発ち、北海道へ。ストライクウィッチーズを鑑賞しながら過ごすこと約18時間、苫小牧港に上陸。初めて自分の車で走る北の大地。少しは感動するかと思ったが、周囲が真っ暗なせいであまり思うところはなかった。
札幌市内で遅い夕食を済ませ、最初の目標である北海道道1号の起点となる小樽へ向かう。この日は札樽自動車道 金山PAで車中泊。翌朝からの走行に備えて早めに寝る。

北海道道1号
小樽市と札幌市の定山渓温泉を結ぶ道路。総延長約35km。愛称は定山渓レイクライン。その名のとおり、小樽市側にオタルナイ湖、札幌市側にさっぽろ湖があり、朝里川温泉からオタルナイ湖畔へはループ橋であがっていく。事実上の観光道路である。朝里川温泉から定山渓温泉まで信号はなく、全線二車線で走りやすいが、積雪期は大変なことになりそう(11月から4月は夜間通行止めらしい)。なぜか道庁がある札幌市側が終点の変な道路でもある。
10月5日午前5時50分、小樽市側から突入。今回の旅の始まりだ。さすがにこの時間の交通量は少なく、のんびりと走ることができた。ちょうど紅葉の時期でなかなかの景色である。終点の定山渓温泉付近では浴衣姿で歩く人があちこちに見られた。さすが観光地といったところか。

さっぽろ湖
次の目標は青森県道1号だが、予約しているシルバーフェリーは苫小牧21:15発だ。この時点でまだ12時間以上ある。そこで美唄炭山跡や真駒内滝野霊園、支笏湖を見物して苫小牧へ戻る。

青森県道1号
八戸市から三戸郡階上町へ至る道路。総延長約23km。愛称はうみねこライン。国道45号から分岐し、また国道45号に戻る。また、本線とは別に八戸港付近から蕪島へと向かう約2kmの支線がある。八戸線と何回か交差しながら、海岸線に沿うように進む。種差海岸付近では風光明媚なところもあるが、基本的には生活道路といってよい。
日は変わって10月6日午前5時、八戸港へ上陸。5時20分、起点の塩崎交差点から突入。最初のうちは二車線の普通の道路だったが、陸奥湊駅あたりで状況が一変。一車線しかないうえに、道の左右に並んだ魚屋には人が押し寄せ、店の前には軽トラックが停まり、原付が左右に我が物顔に行き交う。賑わう港町といえば聞こえはいいが、タイミングが読めない余所者の私で前に進めない。蕪島へと向かう支線ではトレーラーが行き交い、そうかと思えば本線の鮫駅付近ではこれまた幅が狭く、わずかな間に状況が刻々と変化する忙しい道路である。

八戸市鮫町
といっても生活感あふれる道路はここまで。鮫駅から階上駅にかけてははうみねこラインの名に恥じない景色を楽しむことができそうだ。残念ながら、私が通過したときは雨空のせいでいまいちだったが。
国道45号から青森県道42号 名川階上線を経由して南郷ICへ。東北自動車道へ入り、次の目標である岩手県道・秋田県道1号の起点となる盛岡市へ向かう。

岩手県道1号/秋田県道1号
岩手県盛岡市から秋田県横手市へ至る道路。総延長約96km。和賀郡西和賀町から横手市までは国道107号と重複するため、秋田県内の単独区間は存在しない。したがって路線番号案内標識もなし。岩手県内でも盛岡市から雫石町にかけて国道46号との重複区間がある。田沢湖線と北上線を結ぶ区間は沢内街道、国道107号重複区間は平和街道というらしい。
国道との重複区間はさておいて、典型的な田舎道。一部を除いて全線二車線。信号はほとんどなし。天気がよければさぞかし気持ちのいい道なのだろうが、あいにくの雨。雫石町に入ると雨が強くなってきた。周囲の家々も減り、この先が思いやられたが、山伏トンネルを抜け、西和賀町に入ると雨は小降りになった。人家も増え、国道107号との合流が近いことがわかる。

和賀郡西和賀町湯之沢
国道107号との重複区間は二車線のこれといった特徴もない道路。秋田県道1号の路線番号案内標識を探したが見つからず。国道の路線番号案内標識はそれなりにあったが、県道の路線番号案内標識を設置する気はないらしい。少しは栃木県を見習え。
横手ICから秋田自動車道へ入り、東北自動車道 古川ICで下りる。次の目標は宮城県道1号だ。

宮城県道1号
大崎市(旧古川市)から登米市(旧登米郡迫町)へ至る道路。総延長約33km。平成の大合併の前後を問わず、おそらく県道1号のなかで最も地味な地名を結ぶといってよいだろう。本線のほか、栗原市瀬峰から登米市迫町中江かけて約12kmのバイパスがあり、大崎市から栗原市にかけては国道4号との重複区間がある。大崎の市街地はほぼ旧国道4号に相当する。
雨は止んだがどんよりした曇り空。起点の旧古川市街は城下町のためか道が狭い。大崎市役所前からは七日町商店街という広い通りになるが、多くの店でシャッターが下りて活気が感じられない。曇り空とあいまってさらに沈んだ雰囲気。とても新幹線が停車する街とは思えない。

大崎市古川休塚
市街地を抜けると国道4号と合流。天下の国道4号もここでは普通の国道。栗原市に入って国道4号と別れる。ここからはたぶん旧国道4号なのだろう。高清水の街で右に曲がると、瀬峰までは気持ちよいストレート…晴れていればだが。
瀬峰からはまず北側の本線を通ってみることにする。駅前の短い区間も県道1号らしいので、とりあえずロータリーを一周しておく。東北本線の踏切を渡ると人家もまばらになり、ありふれた田舎道となる。そんな中、左手に長沼が現れる。周囲には公園が整備されており、休日は賑わうのかもしれない。通過時は閑散としていたが。
長沼から先、バイパスとの合流地点付近からは今時の市街地。佐沼大橋を渡ると国道346号に突き当たり終点となる。
佐沼大橋近くの野球場の側で少し休憩した後、バイパスを走るため戻る。バイパスの周囲はどこまでも田んぼ。このバイパスは仙北鉄道の廃線跡を利用したものだという。そのせいか直線的な道である。
長者原スマートICから東北道へ。次の目標は山形県道1号。ETC通勤割引を利用するため、山形自動車道 関沢ICで下りる。午後5時になるまでゲートの前で2分待ったのは内緒だ。もっともその間、ほかに誰も通らなかったが。

山形県道1号
米沢市から東置賜郡高畠町へ至る道路。総延長約16km。米沢盆地の東端を南北に走る。米沢駅前から出発し、高畠町において国道113号と合流して終わる。一部、国道13号および国道399号との重複区間がある。
移動の都合上、この道路は終点の高畠町側から走ってみた。日が落ちてから走ったせいもあるだろうが、ものすごく地味な道路。距離もそれほどないので、たいして時間もかからずに米沢駅前に到着。

東置賜郡高畠町元和田
沿線には家々が途切れることなく建ち並び、昼間の交通量はそこそこ多いと思われる。道の西側には田んぼが広がっているようだが、暗くてよくわからなかった。
米沢駅で夕食として駅弁を買い込み、国道121号と国道459号を経由して新潟方面へ。国道459号の未整備っぷりに泣きそうになる。朝から12時間以上走りっぱなしの身にこの道はきつい。ギブアップして徳沢駅付近から国道49号へ。津川ICから磐越自動車道で新潟市を目指す。次の目標は新潟県道1号だ。

新潟県道1号
新潟市と三条市を結ぶ道路。総延長約43km。ほぼ全線が信濃川の東岸を走る。起点の流作場五差路から万代一丁目交差点のおよそ250mは流作場五差路方面への一方通行であり、車では起点側からスタートすることができない。おかげで周囲を一周した。
この道は国道7号から分かれるように始まる。鳥野屋付近で国道8号 新潟バイパスと交差した後、国道8号と信濃川を挟んで併走し、三条市内で国道8号にぶつかって終わる。一桁国道間を結ぶ唯一の県道1号だったりする。
起点の新潟駅付近はごみごみしているが、越後線ガード下を潜ると車線が増え、都会の大通りの雰囲気を呈する。新潟県庁前のあたりは堂々としたものだ。しかし、国道8号と上越新幹線を過ぎると風景は一変し、そこから先はいかにも堤防の上という道路になる。この手の道は往々にして車線が狭かったりするのだが、新潟県道1号は幅員は十分、直線的で見通しもよく、とても走りやすい。これが角栄の力か。

新潟市中央区親松
時刻は夜11時過ぎ。時折、車が数台連なって走ってゆく。かなり飛ばしているのだが、遙か彼方からライトが見えるためゆっくり近づいてくるように錯覚する。快走路の割に車が少ないと思ったがその理由は至極簡単。すぐ対岸がほとんど高速道路の新潟バイパスだからだ。
三条に近づくと改良工事をしている箇所があった。その付近は狭いが、立派な道に生まれ変わるのは時間の問題だろう。終点の国道8号に到着したのは日が変わる直前。ここから次の目標、群馬県道・福島県道1号の福島側へ向かう。
国道289号 八十里越が開通していれば福島県なんて目と鼻の先なのだが、残念ながら通れない。国道289号、国道290号、国道252号で県境を越え福島県へ。再び国道289号、国道401号、国道352号を経由して、やってきました檜枝岐村。三条から150km。到着は翌日、10月6日の午前3時。
関越自動車道から国道352号経由のほうが早いのはわかっているのだが、夜の国道352号なんて怖くて通れない。国道252号も十分怖かったけど。


群馬県道1号/福島県道1号
群馬県沼田市から福島県南会津郡檜枝岐村に至る道路。総延長不明。通称沼田街道。起点の沼田市戸鹿野町から利根郡片品村鎌田までは国道120号および国道401号と重複、片品村鎌田から片品村大清水までは国道401号と重複、片品村大清水から一ノ瀬休憩所まで一般車両通行禁止。一ノ瀬休憩所から先は廃道化工事中。
終点となる福島県側は南会津郡檜枝岐村御池から沼山峠まで車道はあるものの、やはり一般車は通行止め。尾瀬付近はそもそも車道がない。要するに、単独区間はほぼ全線に渡って車が通れない。そういわけでまともな路線番号案内標識の写真がない。
福島県側は、国道353号の分岐からゲートの前までの200m程度は車で行けるので、そこで写真を一枚。ゲートの奥に進めば路線番号案内標識があるのかもしれないが、八戸からほとんど徹夜で走ってきてハイキングをするほど体力に余裕はない。駐車場で寝ている人もいるのでエンジンを止めてライトだけ点灯。バッテリーがあがりそうだ。

御池ロッジのゲート前
福島県名物ダブルヘキサがないのは残念だ。ひとつくらいあると思ったのに。ひとまず駐車場に車を入れて休もうかと思ったが、有料なのはともかくどうやって入ったらいいかわからないので、国道352号に戻り路肩に車を止め、3時間ほど寝る。
朝、起床してすぐ出発。国道352号で関越道自動車 小出ICへ向かい、沼田ICで下りて国道120号との重複区間を走る。片品村に入るとやたら温泉の看板が目につく。国道120号と別れ、国道401号との重複区間へ。
最後の温泉地、尾瀬戸倉温泉を越えると人家はなくなる。いかにもこれから山に入っていくという雰囲気だ。道は二車線で走りやすい。すぐに大清水休憩所に到着。

大清水休憩所のゲート前
大清水登山道って…県道のプライドはどうした。到着は午前10時20分。御池ロッジを出て4時間というところ。まったく通れないのに時間とガソリン代と高速代がいちばんかかった変な道路だった。
そういえばこの道、昔は沼田田島線だったような気がするのだが、いつの間に変わったんだろう。国道401号の制定のときだろうか。
国道120号まで戻り、金精峠、中禅寺湖畔を経て宇都宮市街へ。次の目標は栃木県道・茨城県道1号だ。先を急ぐので日光宇都宮道路を利用する。


栃木県道1号/茨城県道1号
栃木県宇都宮市から茨城県笠間市へ至る道路。総延長約42km。栃木県内は多くの区間で国道123号と重複する。栃木県のいいところは重複区間に国道と県道の両方の路線番号案内標識を出しているところだ。税金の無駄という話もあるが。
県道は宇都宮駅の西口から始まり、駅の南側を迂回しつつ東へ向きを変える。国道4号を過ぎると国道123号との重複区間。この重複区間は真岡鐵道 七井駅付近まで続く。重複区間では鬼怒川、五行川、小貝川と利根川水系を越える。鬼怒川の橋は立派だが、そのほかの橋はとてもこぢんまりとしたものだ。

芳賀郡益子町七井
小貝川を渡るとすぐ国道123号と別れ、単独区間に入る。真岡鐵道の踏切を渡って七井駅前へ。ここもかつては国道123号との重複区間だったのだろう。大沢交差点で国道123号と交差し、ここから本格的に単独区間らしくなる。県境の山塊を越えるため、周囲は少々山がちだ。
仏ノ山峠を越えると茨城県。茨城県側にはチェーン着脱所がある。かつて険しい旧道があったころの名残だろうか。道なりに走ると国道50号に突き当たり、笠間の市街地へと入っていく。国道355号との交差点が終点。数年前まではここから先、笠間日動美術館の前まで県道1号だったような気がするが、国道355号の付け替えによって変わったらしい。
国道355号を経由して友部ICから北関東自動車道へ入る。時間は午後3時。今日はまだ2本しか走っていないのに日が暮れそうだ。常磐自動車道、東京外環自動車道と乗り継ぎ、次の千葉県道1号へ向かう。

千葉県道1号
市川市と松戸市を結ぶ道路。通称松戸街道。総延長は約5kmと短いが、国道6号と国道14号を結び、東京外環自動車の延長上に位置する。そのため極めて重要な道路と思われる。だから混雑が予想される夕方の突入は避けたかったのだが、なぜかそんなに混んでいなかった。北総鉄道 矢切駅前で少し渋滞したくらい。渋滞にはちょっと早かったのかもしれない。

松戸市上矢切
正直なところ見所に欠ける道である。短いし。市川市に入ると大学や高校が集まったエリアがあるので、その付近は学生で溢れている。時間帯にもよるのだろうが、県道1号のなかで歩道の人口密度がいちばん高かったのはおそらくここだ。
国道14号を越えてUターンし、松戸まで戻る。同じ道を戻るのはしゃくだか、次の目標が埼玉県道1号なので東京外環自動車道を利用するのが手っ取り早く、やむを得なかった。

埼玉県道1号
さいたま市見沼区から川口市へ至る道路。第二産業道路とよばれる本線と、旧道の支線からなる。本線は約10km、支線は約6km。本線は四車線の立派な都市計画道路だが、それを縫うように延びる旧道は住宅地の中を抜ける路地である。カーナビがなければまずトレース不可能。
東京外環自動車道 川口中央ICで下り、終点の川口側から突入。まずは旧道を攻めるべく、大谷口陸橋を渡って左折。住宅地の中を抜ける二車線道路だ。交通量は多い。路側帯が狭いのだが歩行者や自転車も多く、いつ事故を起こしてもおかしくない道路だ。

さいたま市緑区原山4丁目
不動谷交差点で本線を越え、旧道は続く。いったん市道と交わってクランク状に市道から離れるのだが、その離れる箇所がわからなくて右往左往してしまった。こんな路地の入り口が県道1号だなんて普通わからんがな。
とても主要地方道とは思えない道を抜けると、再度本線と交わる。旧道は本線を横切って続く。だが、この交差点には信号がない。信号なしで第二産業道路を横切るなんて無謀かと思ったが、たまたま両方向とも車が切れ、無事に横断することができた。
ここからがまた酷い。さっきの路地なんてほんの序の口に過ぎないことを知る。道が狭いだけでなく、交差点がことごとく直角でないのでどちらが進むべき方向かわからないのだ。ここでも何回か道を間違えた。

さいたま市浦和区木崎1丁目
これが県庁所在地の、さらに中心部の浦和区の中を走る県道1号だ。もっとも、ここが県道1号だと示すものは何もない。手元のPocket Mapple Digitalがそう語るのみである。埼玉県はここが県道1号であることを知られると困るとでもいうのか。だったら指定を外せばいいのに。
木崎交差点から先はまた普通の道路に戻り、上木崎4丁目で埼玉県道35号 川口上尾線にぶつかって終わる。正確にはこっちが起点だろうけど。ここから県道35号で北上し、埼玉県道2号 さいたま春日部線を経て大和田交差点から本線へ。ああ運転が楽だ。
再び外環に乗り、関越自動車道、首都圏中央連絡自動車道、中央自動車道を経て長野県飯田市へ。次は最強の県道1号、長野県道・愛知県道・静岡県道1号だ。



長野県道1号/愛知県道1号/静岡県道1号
長野県飯田市から愛知県北設楽郡豊根村(旧北設楽郡富山村)を経て静岡県浜松市天竜区(旧磐田郡佐久間町)へ至る道路。総延長約91km。県道1号の中で唯一、三県にまたがり、長さも半端ではない。岩手県道・秋田県道1号のほうが長いが、単独区間の長さではこちらが上だろう。
この道も一部で国道418号や国道473号と重複する。しかし、どうみても県道1号のほうが格上である。これらの国道は県道1号からのエスケープルートみたいなものだ。
いわゆる「険道」として取り上げられることもあるが、道そのものはそれほど険しくない。特に長野県内は改良工事が進み、多くの部分で二車線化を果たしている。この道が険しいといわれるのはむしろ、長い上に補給がままならないということだろう。飯田線が併走しているにもかかわらず、天竜川の対岸でたどり着けない箇所が多かったりもする。
前日は埼玉からひたすら走り続けた。ところが、車中泊を予定していた座光寺PAはトラックがいっぱいで駐車できず、しかたなく野底山森林公園の入口に車を止めて寝たのだ。おかげでいまいち寝起きがよくない。夜中の森林公園は怖かったし。軽く朝食を済ませ、県道1号に挑む。
10月7日、午前6時30分。国道256号から別れ、県道1号に突入。前日の雨のため路面が濡れている。

飯田市下久堅南原
実はこんな区間はあまり多くない。温田駅の北側で飯田線の踏切を渡る。ここは地形の関係上どうしようもないらしく、狭い。その後の南宮大橋が立派なだけに印象に残る。
長野県道244号 温田停車場早稲田線をパスする。この道を使えば国道151号に抜けられるが、県道1号を突き進んでこそ漢。そんなにいばるほどのことでもないが。次の集落は平岡駅前。ここも地形の関係上道が狭い。そしてこの先、静岡県に入るまで間に存在する集落は旧富山村のみだ。
愛知県に入り、大嵐駅を対岸に見ながら進むと旧富山村だ。大嵐駅は静岡県にあるのに利用者はほとんど愛知県民という変な駅。駅舎も旧富山村でお金を出したみたいだし。愛知県内は見通しの悪いカーブが増え、長野県内ほど道は広くない。険道としては初級クラスだが、初心者は走りたくないだろう。落ち葉も目立つ。

北設楽郡豊根村富山
途中から日が差してきた。晴れたのは初日の朝だけで、あとはずっと曇りか雨だったのでありがたい。だけど路面は濡れたままなので車は泥だらけ。新式根発電所から先はトンネルが連続するが、いかにも工事のためにつくりましたというトンネル。この区間はダンプが行き交うので、トンネルに入る前に対向車のライトをよく確認しなければならない。また、トンネル内でも状況によってはところどころに設けられた待避所に入る必要がある。
トンネル群を過ぎ、佐久間ダムを渡ると静岡県。浜松市天竜区、何度見ても違和感がある地名だ。またトンネルを抜け、坂を下りると中部天竜駅前に出る。ここからは国道473号との重複区間だ。

浜松市天竜区佐久間町浦川
浦川駅近くで国道473号と別れ、再び単独区間へ。川上変電所前の静岡県道・愛知県道9号 天竜東栄線との交差点が終点だ。ここからわずか400m弱で国道151号に出るのだが、その区間は県道9号となる。この間に静岡・愛知県境があることと関係があるのだろうか。県道1号が県道9号に負けたような不思議な区間だ。
次は岐阜県道1号。国道151号を南下して豊川ICから東名高速道路へ。伊勢湾岸自動車道と東名阪自動車道を経由して海津市へ向かう。

岐阜県道1号
岐阜市と海津市を結ぶ、総延長約38kmの道路。終点の海津市側から入る。本格的な青空で暑いくらいの陽気だ。まずは近鉄石津駅近くの海津橋で揖斐川を渡る。渡ったら左折し、堤防の上を進む。気持ちのよい道路だ。

海津市安田新田
2.5kmほど走ると堤防から下りる。この付近にはセンターラインがない区間がある。左右にのどかな田園風景が広がる。ここまでの県道1号の中でいちばん落ち着いた雰囲気だろう。海津市役所を過ぎると右折、1kmほど走ってこんどは左折。このような継ぎ接ぎっぷりがこの道の特徴だ。
しばらく道なりに走って蛇池交差点で右折、美濃大橋で長良川を越えてすぐ左折。とにかく交差点で右左折が多い。ほぼ東西南北に碁盤の目のように張り巡らされた道を、海津市からみて北東の岐阜市を目指す以上、このような右折、左折の繰り返しはしょうがないのかもしれない。
岐阜羽島駅付近を通過。駅前はだいぶひらけているとかと思いきや、さりげなく畑がある。安中榛名駅の登場で「周囲に何もない新幹線駅」の代表の座から引き摺り下ろされた感があったが、かつての栄光はまだ色あせていないようだ。
それでも岐阜市街が近づくにつれて田園風景から市街地へと景色は変わってゆく。車線が増えて二車線になった。堤防から始まって農村、郊外、そして県庁所在地の城下町へと徐々に変化してゆくのがこの道の魅力であろう。
岐阜県庁前で右折し、ほんの少しだけ国道21号と重複。すぐに離れて岐阜駅方面へ。城東3丁目交差点で左折し、あとは突き当たりの国道248号まで走るだけと思ったら、ここでちょっとした罠が。踏切だ。それも名鉄本線、名鉄各務原線の二本立て。両方とも引っかかり、通過にずいぶん時間をとられた。
時刻は午後1時20分。昨日と同じく、午後になってもまだ2本しか走っていない。このあたりから、休暇中にすべての県道1号を走りきれるのかという不安が頭を過ぎるようになる。
国道248号と国道156号を経由し、関ICから全線開通したばかりの東海北陸自動車道へ。次は富山県道1号だ。北陸自動車道 富山ICを目指してひた走る。

富山県道1号
富山市と魚津市を結ぶ道路。総延長約20km。同じように富山市と魚津市を通る国道8号が比較的内陸を通るのに対し、こちらは海岸沿いを走る。この道路、国道からではなく、富山県道30号 富山港線から岩瀬西宮交差点で分岐するように始まる。起点から約1.6km、富山ライトレールの終点、岩瀬浜駅までは北進、ここで向きを変えあとはひたすら西へ。
場所が場所だけに勾配はなし。北側はすぐ日本海のはずなのだが、高いところを走っているわけではないので、海は見えるようで見えない。ほとんどが二車線だが、このような昔ながらの区間も存在する。

富山市水橋魚躬
滑川市に入ると北陸本線と接近し、駅の近くを通る。そのせいか、それまでは海岸沿いの一本道だったのが、古い漁師町の中を横断する道路といった雰囲気に変わる。富山地方鉄道 中滑川駅近くには微妙な一方通行があったりする。市街地を抜けてしまうとまた一本道に戻り、両側に田園が広がる。この付近では多少海岸から離れているようだ。
魚津市街に入ると、滑川と同様、漁師町の雰囲気に変わる。魚津港の前で県道1号は終わり、そこから先は富山県道2号 魚津生地入善線となる。そのまま県道1号でもいいような気がするのだが、なにか理由があるのだろう。
滑川ICから北陸自動車道へ。次はお隣の石川県道1号。北陸自動車道を走っている間に日が落ちた。しかし、今日の走りはまだまだ終わらない。能越自動車道へ入り、能登半島を北上する。

石川県道1号
七尾市と輪島市を結ぶ約30kmの一般道と、徳田大津ICから穴水ICに至る約26kmの有料道路からなる。有料区間は能登道路と称する。一般道部分は七尾市から穴水町までの多くの区間で国道249号と重複する。能登半島を縦断する重要な道路だ。
まずは徳田大津IC側から有料区間を走る。有料道路とはいえ対面通行だ。時刻は午後8時過ぎ。対向車はほとんどいないし、後続車に追いつかれることもない。この時間帯になると交通量は少ないようだ。
穴水ICで下りると帰りも同じ区間を走ることになるので、そのまま能登空港ICまで走って石川県道271号 漆原下出線を経由して再び県道1号へ。結局、ここから先は行きも帰りも県道1号を走る。まあ、ほかに道がないのでしょうがない。

輪島市三井町本江
輪島市中心部の河合中央交差点で国道249号にぶつかる。ここが終点だ。交差点の先でUターンし、一般道を穴水まで戻る。もう午後9時だ。街に人影はなく、交差点も信号で1、2台の車が引っかかるだけ。昼間は観光客で賑わう通りのはずだが、夜はうって変わって静かだ。来た道を延々と戻り、穴水ICを過ぎると国道249号とぶつかる。だがここで終わりではなく、国道249号と合流して七尾まで続く。
のと鉄道 田鶴浜駅前で国道249号と別れ、再び単独区間に。たぶんここから先は国道249号の旧道なのだろう。七尾市街で再び国道249号と出会う。だが、ここは起点ではなく、重複して国道159号、国道160号との交差点まで続くようだ。
能登道路(こちらは石川県道60号 金沢田鶴浜線)で金沢方面へ。金沢からは再び北陸自動車道で関西方面へと向かう。次の目標は奈良県道1号。気が遠くなりそうだ。尼御前SAで休憩中に日付が変わり、10月8日となる。

奈良県道1号
奈良市と生駒市を結ぶ道路。総延長約10km。接続する大阪府道・奈良県道8号 大阪生駒線とあわせて阪奈道路とよばれる。その名の通り大阪と奈良を結ぶ幹線道路である。
起点は奈良駅南の大森町交差点。だが、関西本線と桜井線の高架化工事のため、現在は線路を渡って向こうに行くことができない。起点からわずか100mで通行不能となる。交差点を曲がる車がまったくいないのはそういう訳だったのか。現地に着いて初めて知った。一本北の道路を使って線路の反対側に渡る。
分断区間から道なりに進んで三条栄町交差点から西へ向きを変える。国道24号にぶつかると重複して北向きに進む。直進してしまうとあの国道308号になる。300mほどで国道24号から離れ、再び西へ。四車線の立派な道路だ。その割にあまり高い建物がないのは古都ならではか。

奈良市三条大路二丁目
尼ヶ辻橋からは国道308号と重複。すぐに現れる宝生ランプで、阪奈道路と第二阪奈道路のどちらで大阪方面へ向かうか選択できる。ここは迷わず県道1号の阪奈道路側へ。国道308号は第二阪奈道路となって分岐する。
ここから先はほとんど高速道路である。すぐに辻町ICに到着。その先は奈良県道8号。次の目標は大阪府道1号なのでそのまま進んで大阪入りしてもよかったのだが、先のことを考え、国道168号を南進して壱分ランプから第二阪奈道路に入り、阪神高速13号と近畿自動車道を経由して大阪に向かう。


大阪府道1号/Route1 Osaka
茨木市と摂津市を結ぶ道路。総延長約22km。終点の摂津市千里が丘七丁目、大阪府道14号 大阪高槻京都線との交点側から走る。英語表記の路線番号案内標識があったりなかなか生意気な道路だ。名神高速道路を過ぎると万国博記念公園を一周する環状線となる。まずは一巡り、さらに半周して阪大病院前から北へと抜ける。
国道171号を越える。この先は道がよくないと聞いていたのだが、彩都(国際文化公園都市)の開発にあわせて整備したためであろう、びっくりするほど近代的な道である。併走するモノレール。並び立つ新しい建物。立派すぎて彩都まちづくり館の前で迷子になった。
しかし、この道が続くのは大阪モノレール彩都線の終点、彩都西駅まで。ここから先、大阪府道1号はその姿を大きく変える。突然田舎道になったかと思うと、左右は山、続く勾配。人家もなければセンターラインもなし。暗闇の中、頼りになるのは車のライトだけ。本当にこの道でいいのかと不安になるのは間違いない。そして突然現れる集落。これでも大阪である。

茨木市佐保
茨木市佐保でいったん大阪府道110号 余野茨木線(亀岡街道)と重複。400mほどで別れ、また山の中を進む。茨木市大岩で大阪府道114号 忍頂寺福井線と合流。ここから茨木線忍頂寺まで重複区間なのだが、どう見ても府道114号が本線で府道1号はそこから生えた支線としか思えない。
忍頂寺のY字路で大きく向きを変え、今度は山下りが始まる。急勾配に急カーブと遠慮がない。そして起点の茨木市車作へ。ここで大阪府道・京都府道46号 茨木亀岡線から分岐するように始まる。自分よりも番号が大きい府道から始まってやはり府道に終わり、途中交わる国道は三桁の国道170号ひとつだけ。そして極めつけがこれ。

茨木市車作
異常気象時通行規制区間があったりする。これでも県道1号(府道だけど)だ。
走り終えた頃、空が白んできた。時刻は午前5時20分。徹夜で走り続けてここまできた。茨木ICから名神高速道路へ、そして中国自動車道を経由して舞鶴若狭自動車道へ入る。次の目標は福井県道・京都府道1号だ。


福井県道1号/京都府道1号
福井県小浜市から京都府綾部市へ至る道路。総延長約43km。このうち、小浜市から大飯郡おおい町の間は国道27号と重複する。国道27号から分岐した後、丹波の山間部を縫うように走り、再び国道27号に合流して終わる。小浜から京都方面へ向かう際、舞鶴市内をショートカットできる。それほど険しい山を走るわけではないのだが、距離の割に交わる道路が少ない。今回は終点の綾部市側から走った。
山家駅前からスタート。道はほぼ全線で二車線。交通量はそれほど多くないが、かといって車の流れが長い時間途切れることもない。信号が少ないせいか、流れは速い。京都府道481号 上杉和知線から京都府道51号 舞鶴和知線の間はほとんど直線だし。
一部にまだ狭隘区間があるが、いずれ改良されるのだろう。それに狭隘といっても離合困難というほどではない。

綾部市光野
県境を越えて福井県に入ると、勾配で一気に下ってゆく。舞鶴若狭自動車道 大飯高浜ICの手前からは平地になり、周囲には水田が広がる。

大飯郡おおい町岡安
平地に出てしまうと直線とゆるいカーブが続くのどかな道となる。おおい町役場を過ぎると、小浜線と国道27号を陸橋で越えて国道27号と合流。小浜方面へと向かい、小浜西ICの手前で国道27号と別れる。加斗駅前を掠めるように進み、再度国道27号とぶつかるところが起点だ。
空は晴れ渡り、昨日の岐阜県道1号から引き続きいい天気だ。次の目標は兵庫県道1号 日高竹野線。丹後半島の向こうといえば近そうに聞こえるが、これまでと違い一般道を延々と走ってのアプローチとなる。舞鶴若狭自動車道から京都縦貫自動車道へ入って宮津市へ。天橋立を横に見ながら、国道312号と兵庫県道・京都府道11号 香美久美浜線で兵庫県に向かう…遠いよ。

兵庫県道1号
数ある県道1号の中で唯一、ひとつの市内で完結してしまう道路。もちろん、もともとそうだったのではなく、平成の大合併前の城崎郡日高町と城崎郡竹野町を結んでいる。総延長は約33km。
この道も終点の旧竹野町側から走った。旧竹野町の中心部で兵庫県道・京都府道11号 香美久美浜線から分岐するように始まる。竹野駅前を通り、山陰本線の踏切を渡る。しばらくは線路と併走する。国道178号にぶつかるまではきついカーブも勾配もなく、単調な田舎道である。国道178号から南はカーブが増え、山がちな道路になるものの、それでもまだ普通の山道だ。
この道の見所は兵庫県道712号 床瀬神鍋高原線と分岐してからにある。分岐点で既に県道1号のほうがダメっぽい雰囲気が漂っているのだが、ちょっと進むとこんな具合だ。

豊岡市竹野町床瀬
どうやらこの道、陸上自衛隊が開削したらしい。旧竹野町と旧豊岡市の境、番屋峠に石碑が建っていた。番屋峠から豊岡方面を見ると、山肌に半ばむりやり道がつけられているのがわかる。走る前はとんでもない道だなと思ったが、いざ走ってみると意外に走りやすい道だった。
あとは道なりに進んで、江原駅付近で国道482号にぶつかって終わる。終わるというか、ここが起点だ。走り終えて空をみると、いつの間にか曇り空。竹野を出たときは青空だったのに。
次の目標は徳島県道・香川県道1号。海の向こう、四国だ。国道312号から国道9号を経て播但連絡道へ。ひたすら南下。山陽自動車道、神戸淡路鳴門自動車道、高松自動車道と高速道路を使いまくり、やってきました四国。着いたら真っ暗だったけど。


徳島県道1号香川県道1号
徳島市と東かがわ市を結ぶ道路。総延長約27km。通称讃岐街道。徳島大学薬学部前交差点を起点とし、国道192号から分岐して始まる。突入は夜7時過ぎ、すっかり日が沈んだが、周囲は多くの建物が並び、十分明るい。蔵本公園では若者がテニスの練習に勤しんでいる。青春だねえ。
さて、肝心の県道1号はというと、起点付近は四車線の道路。徳島県道30号 徳島鴨島線、徳島県道15号 徳島吉野線といった主要地方道と交わりながら北上、名田橋で吉野川を渡る。
その先は板野郡藍住町。徳島自動車道 藍住ICを過ぎ、さらに北進すると高松自動車道 板野IC方面へと向かう。県道1号は板野IC方面から少しずれ、高徳線に沿って県境の山の中に入っていく。
この道路、事前に地図上で検討した限りでは結構な山道のはずである。それなのにやたら対向車が多い。香川方面からの抜け道としてよく利用されているのかと思ったら、それはとんでもない間違いだったことがすぐに判明した。
阿波大宮駅を過ぎるととたんに道は細くなり、ただの山道へと変貌する。

板野郡板野町東谷
対向車はまったくない。もちろん後続車もない。どうやらさっきの車は、阿波大宮駅に家族を迎えにきた人たちの車だったらしい。いつの間にか高徳線がずっと下に見えるようになった。高徳線は大坂山トンネルで抜けてしまうが、県道1号はトンネルなぞ使わずに峠越えとなる。
鳴門市に入った。この道から直接鳴門市街へ出るのは不可能だけど。市境を越えたとたん、どういうわけか左右から草が伸び放題になり、実際よりも道幅が狭く感じられる。そんな中、目の前に一匹の獣が現れた。イノシシだ。ざっくり1.2mくらいだろうか。たぶん雄の成獣だろう。車を目の前にして逃げる様子も見せない。
悲しいかな、軽自動車ではイノシシに勝てない。いたずらに怒らせて体当たりされたらまずい。こんな山の中で動けなくなるのは勘弁だ。イノシシを刺激しないように横を通り過ぎる。
香川県に入る。道が狭いのは相変わらずだが、眼下に街の灯が見える。徳島県側が山の中を縫うように走るのに対し、香川県側は山の斜面をつづら折りで下ってゆく。すぐ近くを高松自動車道が通っているのだが、完全にトンネルの中なので知りようもない。

東かがわ市坂元
これでもかといわんばかりにヘアピンカーブが連続する。昨日から徹夜で走り続けた体にはつらい。この付近は大坂越というらしい。そのまんまだ。坂を下り終えると坂元の集落を抜け、国道11号に接続して終わる。目の前は瀬戸内海のはずだが、波がないせいか海という気がしない。
引田ICから高松自動車道へ入り、瀬戸中央道、岡山自動車道、米子自動車道と北上する。次は鳥取県道・島根県道1号。目指せ日本海。8時間前にも日本海沿いを走っていたけど。


鳥取県道1号/島根県道1号
鳥取県西伯郡伯耆町(旧日野郡溝口町)から島根県安来市(旧能義郡伯太町)へ至る道路。総延長約20km。国道181号の溝口インター入口交差点が起点。日付が変わって10月9日、午前0時15分に突入。伯耆溝口駅前を通り、国道181号を横切って西へ。鬼守橋を渡ってすぐ右折。坂を登ってとっとり花回廊脇を通過。昼間であれば賑わいもあるのだろうが、こんな夜中では人っ子ひとり見あたらない。

西伯郡伯耆町宇代
次いで朝鍋ダムの脇を通過。やっぱり暗くてよくわからない。坂を下り、鳥取県道160号 福頼市山伯耆大山停車場線と交わるあたりから人家が建ち並ぶ。夜道を街灯が照らすが、やはり人影はない。丸山付近で左折。この交差点の角にはコンビニがあるせいか、夜中でも車が行き交う。
なんとなくではあるが、米子市街へとつながる平地の南端を走っていることはわかる。国道180号を越え、ゆるやかな坂を上り終えると島根県へ。坂を下り終えると終点だ。
夜中だったせいもあるが、平凡な田舎道でこれといった特徴はない。そう思わせた県道1号であるが、最後の最後で魅せてくれた。

安来市伯太町東母里
まんま川の土手である。ガードレール、街灯の類は一切なし。ほんのわずかな区間であるが、なかなかの狭隘区間といってよい。だが、県道1号と交わる島根県道・鳥取県道9号 安来伯太日南線が現在改良中なので、この区間が県道1号から外れるのは時間の問題であろう。いまのうちに来てよかった。
県道9号を経由して国道9号に入り、西へ進む。松江市街を抜け、松江玉造ICから山陰自動車道へ。宍道湖SAで車中泊。次は山口県道・広島県道1号。これまた遠いな。


山口県道1号/広島県道1号
山口県岩国市と広島県大竹市を結ぶ道路。総延長約10km。これとは別に約3kmのバイパスがある。短いながらも幅員制限、高さ制限となんでもありの県道。しかも広島県側はたったの40mしかない。
旅程の都合上、この県道も終点の広島県側からスタート。国道186号から分岐する両国橋が県道1号であると同時に県境でもある。つまり、この橋の途中で広島県道1号は終わりなのだ。

大竹市木野1丁目
しかもこの橋、車同士のすれ違いができない。渡る前に対岸を確認してから突入する必要がある。信号などという気の利いたものはないため、対岸の車とうまく意思疎通を図らねばならない。
橋を渡ると山口県。山口県道135号 北中山岩国線と重複しつつ小瀬の集落を抜け、右折で県道135号から別れる。線型からいって県道135号に負けてるよな。そして別れるとすぐに現れるのが幅員1.7m制限の標識。すぐ横を山陽新幹線と山陽自動車道が通っているというのに、この有様はなんなんだ。もっとも、新幹線と山陽自動車道はトンネルなのでその姿はまったく見えないのだが。

岩国市小瀬
山道を走る。道は狭いが対向車はまったくなく、走りにくいわけではない。山を抜けた後、国道2号にぶつかる直前の集落内のほうが見通しが悪くて走りにくい。
国道2号に出ると、すぐ横にバイパスが見える。通称関関バイパス。こちらもれっきとした県道1号だ。登坂車線までついたいまどきの道路で、トンネルで峠を越える。もちろんこちらも走っておく。というわけで小瀬の集落に逆戻り。
バイパスを折り返して再度国道2号へ。今度は国道2号を越え、山陽自動車道に沿って進む。御庄大橋で錦川を渡る。ここまできて錦帯橋は華麗にスルー。先を急ぐ。山陽自動車道から別れると、県道1号は思案橋で分岐する。直進は県道1号ではない。この思案橋も入り口に信号はなく、ちょっと渋滞気味だった。
橋を渡って500mほど進むと錦川鉄道と岩徳線のガードを潜る。こちらは高さ制限2.8m。本当になんでもありの道路だ。最後は山口県道15号 岩国玖珂線にぶつかって終わる。終わるというかこっちが起点だな。
これで残すは九州のみ。玖珂ICから山陽自動車道へ入って西進、一路九州へ。九州最初の目標は福岡県道・大分県道1号だ。


福岡県道1号/大分県道1号
福岡県豊前市と大分県中津市を結ぶ道路。総延長約10km。実際には福岡県側は国道10号との重複区間が長く、県道1号としての独立した区間は2.8km程度しかない。国道10号の四郎丸交差点が起点らしいが、一般の市道と交わるなんの特徴もない交差点だ。なぜこんなところが起点なのか疑問が残る。
まずは道なりに県道1号、というより国道10号を走る。ここが県道1号だと思わせるものは何もない。地元の人でさえ知らないのではないか。八ツ並交差点で国道10号と別れて単独区間へ。両側に田んぼが広がる田舎道。

豊前市垂水
特にこれといった特徴がない道だ。市場橋を渡ると大分県。あれ、そういえば路線番号案内標識が1本もなかったような。見落としたかな。
橋を渡っても似たような景色が続く。いまにも雨が降り出しそうな空と相まって、とりたてて面白いと思うような風景がない。新万田交差点で国道212号にぶつかって終了。距離が短いせいもあり、あっという間だった。この道路、市場橋が本体でその両端の国道接続部はおまけみたいなものである。それくらい存在感が薄い。

中津市高瀬
福岡県側の路線番号案内標識が見つからなかったのが悔しいので、引き返してみたがやはり見つからなかった。案内標識を見る限り県道1号であることは間違いないのだが。ついでに国道10号の少し南側に位置する旧道と思われる道も探索してみたが、徒労に終わった。それどころか、八ツ並交差点近くに出るはずの道が廃道化しており大変なことに。
路線番号案内標識はあきらめ、次の目標、長崎県道・佐賀県道1号へ向かう。国道212号で耶馬渓を抜けようと思ったが、あえて遠回りになる宇佐別府道路、大分自動車道、長崎自動車道を使う。結果として大正解。日田付近から強い雨が降り、朝倉市内では前が見えないくらいになった。耶馬渓に入っていたらとんでもないことになっていただろう。


長崎県道1号/佐賀県道1号
長崎県佐世保市から佐賀県嬉野市へ至る道路。総延長約18km。国道35号の三河内駅前交差点が起点。三河内駅の少し南を跨線橋で佐世保線を越え、東へ向かって進む。西九州自動車道の2、3kmほど南を並走する形になる。

佐世保市新行江
佐世保市と波佐見町の間はちょっとした峠になっていて、坂を下ると波佐見町の中心部へと入る。市街地はほぼ直線で、町役場を中心にガソリンスタンドやスーパー、コンビニエンスストアが並ぶ。昼間は混雑しそうだ。
市街地を抜けると再び峠に差し掛かる。今度は県境の峠となり、越えると佐賀県武雄市へ。もっとも、武雄市はほんのわずかに通過するだけで、トンネルを抜けて嬉野市へと入る。この付近は道のつくりが新しい。おそらく長崎自動車道の開通にあわせて改良されたのだろう。
トンネルから坂を下りてゆくと長崎自動車道 嬉野ICを通過。その隣にみゆき公園という広い公園がある。もう夜も更けたせいか人影は見当たらないが。みゆき公園の交差点で右折し、嬉野市街へ。嬉野総合支所前で国道34号にぶつかって終わる。

嬉野市嬉野町下宿
地味な道ではあるが、すぐ近くを西九州自動車道が通っていることから、古くから存在し交通量の多い道なのだろう。現在は国道34号と国道35号を接続し、かつ高速道路のアクセス道として機能している。
惜しむらくは、内陸部を通るのでいまひとつ長崎に来た気がしなかったということか。嬉野は有名な温泉地らしいのだが、私はまったく知らなかった。私が無知なだけかもしれないが、もとはといえば佐賀の知名度が低いせいのような気がする。
嬉野ICから長崎自動車道に入り、鳥栖JCTから九州自動車道を南下。次の目標は熊本県道1号。

熊本県道1号
熊本市と玉名市を結ぶ。総延長約29km。同じように熊本方面から玉名へ向かう国道501号が海岸沿いを進むのに対し、こちらは熊ノ岳、金峰山といった山々の間を越えてゆく。そのため、比較的海岸線に近いにも関わらず、きつめの山越えを強いられる。
九州自動車道 菊水ICから菊池川沿いに走ってきて、終点となる国道208号との交差点から突入。国道501号にぶつかるまでは菊池川沿いに広がる水田の中を走る。長崎、佐賀では止んでいた雨がまた降り出した。
天水町部田見から1kmほど国道501号と重複。国道501号と別れ、旧天水町の中心部を抜けると、この道最大の難所が始まる。何が難しいかといえば、正確にトレースするのが難しいのだ。
まずは天水グラウンド前で左折、続いて右折する必要があるのだが、間違って直進してしまった。引き返そうとしてもこの付近は道が狭く、なかなか容易ではない。
県道1号に戻り、小天集落の中を抜けてゆく。やがて人家が消え、山を登っていくとこのような道になる。

玉名市天水町小天
やれやれ、ここから山越えかと思いきや、両側にみかん畑が広がり、さらにその先にまた集落があったりして侮れない。しかもまた道を間違えた。そして、突然道幅が広くなったかと思ったら、目の前にループ橋が出現。今回の旅でふたつめのループ橋。

実山跨道橋
ここから先、山中とはいえ二車線の走りやすい道となる。意外に集落が多い。週末の深夜ということもあり珍走団の出現を危惧していたのだが、杞憂に終わった。
峠の茶屋公園を過ぎると、熊本市街に向かって一気に下ってゆく。雨は止んだが、濡れた路面が光って運転しにくい。坂を下りきると急に街中に入る。鹿児島本線の踏切は工事中で通れず、指示に従って迂回。藤崎宮前で国道3号に出る。ここが起点だ。
既に日は変わって10月10日、午前1時半だが、街の中心部だけあり、まばらといえども人影がある。そういえば久々に県庁所在地を起点に持つ県道1号だったような気がする。
いよいよ残りはあとひとつ。宮崎県道・鹿児島県道1号だ。熊本ICから九州自動車道へ入り、託麻PAで車中泊。翌朝、起点の小林市を目指して九州自動車道を南下する。


宮崎県道1号/鹿児島県道1号
宮崎県小林市と鹿児島県霧島市(旧姶良郡牧園町)を結ぶ県道。総延長約35km。かつては霧島スカイラインという有料道路だった(1985年12月1日無料開放)。鹿児島県側は火山性ガスが充満しており、窓を開けると硫黄の匂いが立ち込める。人体によくないのはもちろん、あんまり車にもよくないような。県境に近いえびの高原は標高1,200m、まさに高原といってよい。
宮崎自動車道 小林ICを下りるとそこが県道1号だ。まずは小林市街に向かい、起点となる国道211号との交差点を目指す。ゆるやかなカーブの連続で市街地に向かって下りていく。吉都線を越えて国道211号に出る。折り返して霧島方面へ。
小林ICを通り過ぎ、山を登っていく。生駒高原のあたりでも十分に高原という感じであるが、道はまだまだ登る。坂だけなくカーブもきつくなり、軽自動車では厳しい。後続車に道を譲る。
幸いなことに晴れてきた。今回の旅、全体的に曇りか雨の日が多かったのだが、最後の最後で晴れて実に気分がいい。途中の駐車場に車を止め、外の空気を味わう。標高が高いせいかさすがにちょっと寒い。
さらに登ってえびの高原に到着。見ていると皆ここに車を止めて景色を楽しんでいる。韓国岳登山口に入っていく一団もいる。

えびの高原
韓国岳登山口から坂を下ると、ホテルなどが立ち並ぶ一角がある。そこを通り過ぎると鹿児島県。
鹿児島県に入ってすぐは直線的な道路。下り坂だが勾配はそれほど大きくない。鹿児島県道104号 霧島公園小林線との分岐を過ぎるとカーブ、勾配ともにきつくなる。道路脇には噴気孔が設けられており、もうもうと白い湯気を吐いている。

霧島市牧園町硫黄谷
さらに下っていって、霧島温泉街で国道223号との交差点で終点。県道1号からまっすぐ進むとそのまま国道223号になるので、終点を見過ごしてそのまま進んでしまった。最後の幕切れにしてはちょっと格好が悪い。
これにて今回の旅は終了。道の駅 霧島でおみやげを購入し、霧島市霧島温泉健康増進交流センター「神乃湯」に浸かり、鹿児島空港ICから九州自動車道へ。そのまま高速を乗り継いで帰宅。
ひとくちに県道1号といっても様々な道路があった。岩手県道・秋田県道1号や長野県道・愛知県道・静岡県道1号のように100km近いものから、千葉県道1号のように5km程度の短い道もある。埼玉県道1号や大阪府道1号が都市の動脈として機能する一方、北海道道1号や宮崎県道・鹿児島県道1号は完全な観光道路だ。道幅に至っては離合困難な狭隘路から四車線までなんでもありである。
全体的な傾向としては、なんらかの形で山越え、峠越えを含むものが多い。これは複数の県にまたがる道が多いこととも関係していると思われる。距離は20から40km程度のものが多く、一般的な国道に比べるとやはり短いといえるだろう。
どの道もそれぞれの特徴があり忘れがたいが、その中でも特に印象に残る道をあげてみたい。
第1位 山口県道・広島県道1号 岩国大竹線
10kmという狭い区間に幅員制限、高さ制限、バイパスとなんでもありな点を評価したい。広島県側がたったの40mというのも見逃せない。
第2位 徳島県道・香川県道1号 徳島引田線
大坂越はある意味反則。これでもかつては国道だったらしい。途中で出会ったイノシシもポイント高し。
第3位 大阪府道1号 茨木摂津線
起点側と終点側の落差が大きすぎる。異常気象時通行規制もいい味を出している。
次点として長野県道・愛知県道・静岡県道1号と群馬県道・福島県道1号いうところか。長野県道・愛知県道・静岡県道1号は何回も走ったことがあるためいまいち印象が薄く、群馬県道・福島県道1号は車で進入できないので評価できないのが響いた。あとは埼玉県道1号。産業道路部分がなければある意味最強なのに、残念。
美しい風景という点では、北海道道1号と宮崎県道・鹿児島県道1号がそれぞれ東西の横綱になるだろう。天気が悪かったためいまひとつだった青森県道1号、夜間でよくわからなかった熊本県道1号も期待できそうだ。南北に偏っているような気がするがきっと気のせいだ。
逆に地味だったのが山形県道1号、千葉県道1号、福岡県道・大分県道1号。山形県道1号は夜間に走行したという点を差し引いても地味だったと思う。千葉県道1号はあっという間だったし、福岡県道・大分県道1号も県境の橋以外に見るべきところがない。これらに引き続いて地味なのは栃木県道・茨城県道1号、宮城県道1号というところか。
こうやって振り返ってみると、とても同じ基準によって選ばれているとは思えない。背景には政治的な意図が少なからずあるのだろうが、都道府県ごとに力の入れ具合に差があるような気がする。
ともあれ、ちょっと変わった日本縦断の旅はこれにて終了。さて、次はどんな旅に出ようかな。