11月も半ばを過ぎたある日、あるひとつのことが私を悩ませていた。鴨はうすの俺野鳥湯呑を買い忘れたしまったのだ。俺野鳥湯呑とは、つくりものじ氏の同人誌「俺野鳥観察記」の登場人物が描かれた湯呑のことで、コミックマーケット60にて販売されるも開場後わずか数分で売り切れたという品である。その後、SOFTBANK BOOKSで販売され、さらにコミティア58でも販売されたのだが、気がつくとSOFTBANK BOOKSでは在庫なし、そしてコミティア58も終了していたというわけなのである。
俺野鳥観察記
かもちゃん、あひるちゃん、はとちゃん、からすちゃん、ペンギンちゃん、かもめちゃん、すずめちゃん姉妹という鳥の名前が冠された女の子たちのほのぼのとした日常を描いたマンガ。基本的にナンセンスなギャグの連続で話が進むが、それらはしんみりとさせられる背景の上に成り立っている。ネタを理解するには相応のオタク的素養が必要。登場人物が全員萌えキャラなのはいうまでもない。
「うー、俺のからすちゃんが…」
悔やんでみたところで後の祭りである。そもそも再販があることを知りながら忘れていた私が悪いのだ。
「からすちゃんは地方から上京してきたという設定だったけど、やっぱ烏だけに烏山出身だったりするんだろうか?」
妄想大爆発も甚だしい。
「烏山といえば烏山線の終点。そういや、まだ烏山線には乗っていなかったな。次の旅は烏山線乗車記にでもするか」
いつの間にか俺野鳥湯呑からとんでもない方向へと思考が進んでいるが、そういう脳味噌の構造なのだ。
「ん、待てよ。宇都宮の近くに雀宮という駅もあったような…ということは、あとは鴨、鳩…と巡っていけば…」
こうして今回の旅が決定した。「俺野鳥湯呑買い忘れ記念 俺野鳥駅名巡り」である。
まあ、一応傷心旅行ということで。
ということで、「鴨」「家鴨」「鳩」「烏」「ペンギン」「鴎」「雀」の各文字を名前に含む駅を巡ろうというのが今回の旅の趣旨である。とはいえ、この企画を思いついた時点では、烏山と雀宮以外に該当する駅があるのか把握していたわけではない。そこで、そのほかの文字を含む駅を探すところから始めることになった。予算および時間の都合上、日帰りですべての目的地をまわりたいので、範囲は首都圏に限定している。また、駅に準じるものとしてバス停も含めることにした。
該当しそうな駅とバス停をMapionの「駅をさがす」および「ランドマークでさがす」で探す。「鴨」と「鳩」はすぐに見つかった。東海道本線の鴨宮駅、横浜線の鴨居駅、そして青梅線の鳩ノ巣駅である。残念ながら「鴎」(ひらがな含む)の文字がつく駅はなかったが、かろうじて「かもめ町」というバス停を横浜市内に発見した。「鴎」はこれでよしとする。
「烏」と「雀」も念のため検索してみたが、やはり烏山駅と雀宮駅が無難なようだ。烏山駅は烏山線の終着駅、雀宮駅は東北本線で宇都宮駅からひとつ東京寄りの駅である。烏山線は宇都宮から仙台方面に向かってふたつ目の駅である宝積寺駅から出ているので、近くにあると短時間でまわるのに都合がよい。
問題は「家鴨」と「ペンギン」である。駅、バス停ともに該当するものがない。Mapionのランドマークにはすべてのバス停が登録されているわけではないので、関東地方のバス会社のWebサイトを片っ端からあたってみるが、それでも見つからない。悩んだ末、苦肉の策として、家鴨は「家」と「鴨」の2文字にわけ、それぞれ一駅ずつまわることにした。そうすれば「鴨」は鴨宮駅か鴨居駅のどちらか一方を使えばいいし、「家」がつく駅は雀宮駅の近くに氏家駅がある。「家鴨」はこの組み合わせにしよう。
そういえば俺野鳥湯呑ではペンギンのことを「辺銀」と書いてあった。これなら家鴨と同様に「辺」と「銀」にわければよい。「銀」は真っ先に思い浮かんだ営団地下鉄の銀座駅に決定。行きか帰りには上野駅を使わなければならないので、そのときにでも寄ればよいだろう。「辺」は思いつかなかったので、再びMapionで検索。こちらは青梅線の河辺駅がよさそうだ。ちょうど前述の鳩ノ巣駅に行く途中でもある。
こうして目的地が出そろった。
| 文字 | 駅またはバス停 | 路線 | 場所 |
|---|---|---|---|
| 鴨 | 鴨居駅 | 横浜線 | 神奈川県横浜市 |
| 家鴨 | 氏家駅 鴨宮駅 | 東北本線 横浜線 | 栃木県塩谷郡氏家町 神奈川県小田原市 |
| 鳩 | 鳩ノ巣駅 | 青梅線 | 東京都西多摩郡奥多摩町 |
| 烏 | 烏山駅 | 烏山線 | 栃木県那須郡烏山町 |
| ペンギン (辺銀) | 河辺駅 銀座駅 | 青梅線 銀座線/丸の内線 | 東京都青梅市 東京都中央区 |
| 鴎 | かもめ町バス停 | 横浜市交通局 91系統 | 神奈川県横浜市 |
| 雀 | 雀宮駅 | 東北本線 | 栃木県宇都宮市 |
横浜、小田原、奥多摩、宇都宮、烏山、氏家と見事なまでに関東平野の周縁部に分散しているが、なんとか日帰りでまわれる範囲にありそうだ。
次は移動方法だ。当研究所が取り得る方法はふたつ。車か鉄道だ。車は時間制限がないというメリットがあるが、銀座のような東京のど真ん中に車で乗り入れる自信がない。鉄道は始発から終電までという時間制限があるが、目的地のほとんどは駅という点では都合がよい。そこで、今回は鉄道を選択した。銀座駅を除けばすべてJR東日本の駅なので、ほとんどの区間でJRを利用することになる。
さて、JRを利用した首都圏の日帰り旅行といえばホリデー・パスである。いまや自動券売機でも購入可能だ。しかし、鴨宮駅、雀宮駅、氏家駅、烏山駅の4駅はホリデー・パスの範囲外である。そこで思い出したのがスーパーホリデー・パスだ。4,080円とホリデーパスの2倍の価格だが、これが最も安上がりだろう。
あとは時刻表とにらめっこするだけだ。しかし、ひとつ問題があった。「かもめ町」バス停である。当然ながら市販されている鉄道の時刻表には掲載されていない。
そこで、横浜市交通局のWebサイトで調べてみた。まずはバス路線図をチェック。かもめ町を経由するバスは97系統だ。根岸駅前を出発し、かもめ町を経由して再び根岸駅前へと戻ってくる循環バスである。親切にも各バス停ごとの距離が載っているので、それから根岸駅前 - かもめ町間の距離を算出してみると4,430mとなった。往復で約9km、かなりの距離である。
そこそこ近ければ徒歩での移動も考えていたのだが、とても歩ける距離ではない。バスを使うしかなさそうだ。時刻表をチェックしてみると、平日と土曜は30分に1便、日曜は1時間に1便しかない。しかも平日と土曜は17時台と18時台にバスがなく、日曜は17時20分が最終である。
これを考慮すると決行日は土曜日しかない。そして、かもめ町バス停はできるだけ早い段階で回るようにするのがよいだろう。計画を立案すべく手元にあった全国小型時刻表 2001年10月号(弘済出版社)を開く。ところが、すぐに行き詰ってしまった。
というのも、中央線や根岸線、下手をすると山手線の時刻まできっちり調べておかなければならないくらいタイトなスケジュールになりそうだというのがわかったのだ。全国小型時刻表には東京近郊区間の時刻表は掲載されていない。大型のJR時刻表にも詳細は載っていない。
待てあわてるな これは孔明の罠だ。こんなときはMATT関東圏JR線私鉄線時刻表(八峰出版)がある。これには青梅線や横浜線はもちろん、山手線に至るまで首都圏のほぼすべての鉄道のダイヤが掲載されている。だが、あいにく手元になかったので、購入しようと近隣の書店に出向くが見つからない。それどころか、JR時刻表もJTB時刻表も見つからない。店員に尋ねてみると、全部売れてしまって次の入荷は11月20日か21日とのことであった。
そんなに売れているのか時刻表。気を取り直し、21日にあらためて本屋に向かった。こんどはちゃんと置いてある。手にとって早速レジに向かおうとすると、次の文字が目に入った。
ダイヤ改正-JR東日本 東急東横線
そういえばすっかり忘れていた。12月初めのダイヤ改正はいつものことである。決行は12月だなと思いつつレジに向かう。いずれにせよ時刻表がないことにはなにもできない。
研究所に戻り、JR東日本のWebサイトにアクセスする。始発に乗らなければならないため、その時間に駅の窓口が開いているか調べたかったのだ。そのとき、幸か不幸か、「おトクなきっぷ 使いやすく&わかりやすく計画」なる文字が目にについた。「おトクなきっぷ」とはスーパーホリデー・パスも含まれる。
なんのこっちゃとは思ったが、念のために見ておこうとアクセスしてみる。
おトクなきっぷ 使いやすく&わかりやすく計画
JR東日本では、本年12月1日に、ダイヤ改正及び首都圏エリアの特急料金の見直しを実施しますが、「おトクなきっぷ」についても、より「使いやすく、わかりやすい」ものとするため、魅力ある新商品の設定、効力の見直し、わかりやすい商品名への統一、商品体系のスリム化などを実施していきます。
たしかに。だいたい特急ごとに割引きっぷが多すぎるんだよ。で、いったいなにが廃止になるんだ。
主な廃止商品
「スーパーホリデー・パス」 「ツーデーパス」
「奥多摩・秋川自由乗車券」 「東京湾フリーきっぷ」
「かいじきっぷ」 「指定席往復割引きっぷ」
「草津温泉往復割引きっぷ」 「自由席特急回数券(在来線用)」
ちょっと待て。そんな話はいま初めて知ったぞ。とはいえ「商品名への統一、商品体系のスリム化」といっているからには代替品があるのだろうと探してみるが、スーパーホリデー・パスに相当する商品はない。事実上の廃止である。
スーパーホリデー・パスが使えるのは11月中だ。さらに、前述したようにバスダイヤの都合上、決行日は土曜日でなければならない。そして、今日は11月21日。これらの条件を満たす日は11月24日しかない。だが、それではせっかく買ってきたMATTが役に立たず、計画が立てられない。
こうして、まともな計画を立てることもなく、11月24日の朝を迎えたのであった。
午前3時半に起床。寝ぼけながら朝飯を食べ、顔を洗う。目が覚めたところで自転車に乗り、駅へ向かう。無茶苦茶寒い。自転車を漕ぐこと30分、ようやく駅に着いた。みどりの窓口でスーパーホリデー・パスを購入。しばらくしてやって来た始発列車に乗り込む。
前日の就寝前にまわる順番だけは決めておいたので、それを頭の中でもう一度繰り返す。日暮里で山手線か京浜東北線に乗り換え、有楽町で下車。徒歩で最初の目的地の銀座へ。銀座から営団地下鉄で新橋に向かい、新橋から東海道本線で一気に鴨宮へ。そこから折り返し、大船で根岸線に乗り換える。根岸駅前からバスでかもめ町へと向かう。
再び根岸駅へと戻り、根岸線で横浜方面へと向かい、東神奈川で横浜線に乗り換えて鴨居へ。そしてそのまま横浜線で八王子へと出る。ここまではだいだい一本道なのだが、ここから先はかなりあやふやだ。もしすぐに八高線に乗れそうなら、それで拝島に出て青梅線に乗り換える。中央線で立川経由のほうが早そうならばそちらにする。こればかりは着いてみないとわからない。青梅線の2駅、河辺と鳩ノ巣のどちらを先にまわるかもその場の判断だ。
この2駅のあともどうなるかわからない。拝島から八高線と川越線で大宮に出るべきなのか、立川まで戻って中央線に乗り、西国分寺から武蔵野線で南浦和に出るべきなのか、もし青梅特快に乗ることができるのなら新宿まで出てしまい、池袋発の東北本線の列車にのるという手もある。
とにかく東北本線に乗ったとして、残る雀宮、氏家、烏山の3駅をどうまわるかも未定だ。1時間に1本程度しかない烏山線次第である。これは東北本線に乗ってから考えても十分時間あるので、そのとき考えることにしよう。
とか考えていると、あっという間に日暮里へ。到着は6:23。日暮里で山手線外回りに乗り換える。案内によると6:25分発。予定どおり有楽町で降りて、銀座駅へ向かう。早朝の有楽町駅で降り立った瞬間、いつか似たような光景に出会ったような既視感に襲われる。そうだ、まだコミケが晴海でやっていた頃…いや、なんでもないです。そんなことよりも銀座駅を探さねばならない。
ようやく見つけた、と思ったら銀座一丁目駅だった。違うっつーの。しばらく有楽町駅前をうろついて銀座駅を発見。まずはひとつめをクリア。

銀座駅 駅名標
そのまま銀座線に乗ろうと地下へ降りたまではよかったものの、改札口まで延々と歩かされる。こんなところで無駄に過ごしている時間はないのだ。小走りに改札へと向かい、ホームへ出る。すぐに電車がやってきたので飛び乗る。あれ、この電車なにかおかしい。なに?次は京橋だと?
反対方向の電車に乗ってしまったのである。まだ寝ぼけていたようだ。慌てて京橋で降り、こんどは間違いなく新橋方面の列車へ。ホームの時刻表によると6:50発の渋谷行きらしい。銀座駅に戻ってきたときには我ながら情けなかったが、すぐに新橋へ。地下鉄のホームから地上へ向かう。
新橋から7:05発の東海道本線 小田原行きに乗車。鴨宮まで少しの間ゆっくりすることができる。そう思ったのも束の間、川崎に着いたところで、茅ヶ崎 - 平塚間で沿線火災とやらで列車が止まってしまった。まだ1駅しかまわってないのに俺のスーパーホリデー・パスはどうしてくれるんだと不安になる。しかし、既に火災は鎮火しているとのことで、3分遅れただけで川崎駅を出発。ほっと一息をつく。
定刻の8:24に鴨宮到着。ホームに降りると、雪をかぶった富士山が間近に見える。いったん改札をくぐって駅舎の外に出、写真撮影。

鴨宮駅

鴨宮駅 駅名標
だが、ここでまたもやトラブルが発生。スーパーホリデーパスが自動改札を通れなくなってしまったのだ。自動改札機に入れると「磁気異常」という表示が出てゲートが閉じてしまう。しかたなく有人改札を通ってホームに出る。この先、いちいち有人改札を通らなければならないことを考え、ブルーな気分になる。
折り返し8:34発の電車で大船へ。大船到着は9:12。9:22発の根岸線経由京浜東北線 大宮行きに乗り換え。時間があったので大船駅の自動改札を通過できるか試してみるが、やっぱりダメなようだ。根岸到着は9:41。ホームからバス乗り場までダッシュ。ちょうど9:45発のバスがやってきた。210円を前払いしバスに乗り込む。
乗客は私を含めてたったの4人。ひとりは日赤病院前で下車。このバス停までは商店が建ち並ぶ通りを走っていたのだが、そこから先はなにもないところを走る。一応、山側には山渓園と市民公園、海岸側には工場と石油タンクが建ち並んでいるのだが、交通量は少なく人の気配もない。寂しいのを通り越してやや不気味ですらある。気が付くと頭の上には首都高速湾岸線が走っている。
本牧車庫付近の立体交差で湾岸線から離れ、いよいよかもめ町方面へと向かう。陸橋下という投げやりなネーミングのバス停を通過し、次いで南通りというやっぱり投げやりな名前のバス停を通過するとかもめ町バス停だ。工場地帯の中を縦断するいかにも産業道路といわんばかりの直線道路をひた走り、かもめ町バス停に到着。目の前は海、左右と後ろは工場が広がるばかりである。
こんななにもないところで降りる客は私だけだろうと思いきや、もうひとり降りる客がいた。なんの用事があるのか知らないが、私も人のことをいえるような立場ではない。この乗客がバス停から見えなくなるのを見計らって写真を撮る。

かもめ町バス停
さて、急いで根岸駅に戻らねばならない。かもめ町バス停を通る97系統は循環バスなので、そのまま待っていてもよいのだが、次のバスは30分後である。それでは時間がもったいない。どうしようか考えていると、道路の反対側にバス停があるのに気が付いた。道路を横断し、次の根岸駅前行きバスの時刻を見てみる。しかし、そこには5 - 16時、20 - 24時の根岸駅行きバスを御利用の方は反対側のバス停でお待ち下さいとの記載があった。97系統は一方向にしか回っていないようだ。とはいえ30分は惜しい。
そうだ、来る途中に本牧車庫があった。あそこまで歩けばきっとバスがいっぱい走っているに違いない。バスで来た道を歩いて引き返す。私のほかに歩いている人の姿はまったくない。寂しい限りである。途中の交差点で道路工事をしていたが、交通整理のおじさんは私の姿を見つけると信号を無視して横断させてくれた。いい人だ。
もうすぐ12月だというのに、歩くと汗をかくほど暑い。歩道には雑草がこれでもかといわんばかりに生い茂っている。本当にここは横浜なのか?という疑問がわく。だいたいこんなところでなにやってんだ、俺?という気分になりかけたころ、ようやく本牧車庫に到着。ちょうど目の前でバスが2台去っていった。よしよし、俺の読みは当たっていた。あとはバス停を探すだけだ。
バス停を探すべく湾岸線の下を根岸駅方面へと歩く。だが、なかなかバス停が見つからない。ちょっと焦りだしたころ、ようやくバス停を発見。「本牧市民公園前」とある。バス停にして3つ歩いただけなのだがとても疲れた。幸運にもほとんど待つこともなくバスがやってきた。このバスの客は私を含めて3人である。根岸駅に戻る途中、やはり日赤病院前から乗車してきた客がいたが、それでも乗客はまだ10人にも満たない。ここって横浜だよなあ。なんでこんなに人が少ないんだろう?根岸駅前の商店街もほとんどシャッターが閉まったままだし。
根岸駅へと戻ってきた。10:24発の京浜東北線 南浦和行きに乗り込み、東神奈川で下車。10:47発の横浜線 八王子行き普通列車に乗り換え、鴨居駅へ。鴨居到着は11:02。

鴨居駅

鴨居駅 駅名標
急いで写真を撮る。鴨居駅前はそこそこ人が多く、写真撮影はちょっぴり恥ずかしいものがある。そういえば、ここもかもめ町バス停と同じ横浜市内のはずなのだが、なんか別世界のようである。不思議だ。
次の11:12発の八王子行きに乗車。町田で快速に乗り換える。八王子に到着する直前の車内放送によると、八王子からの接続列車は、中央線 東京行きが12:00、八高線 高麗川行きが12:02とのこと。2分差なら八高線で拝島に出たほうが早そうだ。八高線のホームへと急ぐ。
八高線で拝島駅に到着。地下通路を通って青梅線へ。あれ、なにかおかしい。武蔵五日市行き…って五日市線だ。拝島駅に来たのは久しぶりだったので間違えてしまった。急いで地下通路を戻り青梅線のホームへ。列車は既に入線していた。12:21発の青梅行きである。
さて、次の問題は鳩ノ巣駅と河辺駅のどちらを先にまわるかである。青梅から先は列車の本数が減るので、タイミングを間違えると青梅で立ち往生してしまう。この列車が奥多摩行きに接続していれば鳩ノ巣駅を先にすべきだし、逆に次の列車が接続しているなら河辺駅を先にしたほうがよい。念のため持ってきた全国小型時刻表には青梅線のダイヤは載っていないので、こればかりは勘である。
悩んでいる暇もなく河辺駅に到着。己の勘を信じ、河辺駅は後回しにして降りずに青梅へ向かう。河辺の次は東青梅、そして次が青梅だ。その東青梅駅にて、ある事実に気がついた。それは駅名のローマ字表記である。
東青梅 HIGASHI-OHME
あれ、確か中央線の青梅行きのローマ字表記は「OME」だったような気が。そうか、東青梅は青梅の東にあるからという単純な理由で名前がついているんのではないんだ。きっと東急の「せんぞく」駅が「北せんぞく」駅よりも北にあるのと似たような理由なんだろう、とひとり納得してみる。
閑話休題。12:40、青梅駅に到着。ホームの電光掲示板を見てみると、次の奥多摩行きは13:06。待ち時間は実に26分。ハズレである。負けを認めるしかない。ホームで待っていても時間の無駄であるし、次々やってくる立川方面からの列車を見るのもしゃくなので、駅の外に出て食料と飲み物を調達する。昼過ぎなので時間的にもちょうどよい。駅近くのコンビニでおにぎりとジュースを買って駅に戻り、ホームに出る。すると、さっきまであまり人のいなかったホームに多くの人がいる。次の奥多摩行き列車は展望型列車なので、それが目的らしい。
定刻どおり青梅駅を出発。列車は秋川渓谷に沿って走る。勾配、カーブともにそこそこきつい。13:37、鳩ノ巣駅に到着。本日初めてとなる有人改札のみの駅だ。おかげでここまでとは違い気楽に改札が通過できる。次の列車の時刻を確かめて駅舎を出る。駅前には人が多い。中高年の夫婦、友人連れが多いが、小さい子供を連れた家族や若者のグループもいる。だが、地元の人を除けば、ひとりで行動しているのは私だけのようだ。ちょっぴりむなしい。

鳩ノ巣駅

鳩ノ巣駅 駅名標
再び鳩ノ巣駅の改札をくぐり、上り線のホームへ。13:52発の青梅行きで青梅まで戻る。またもや展望型列車だが、来たときとは違う編成だ。こんどは逆に長い下り勾配を延々と降っていく。青梅到着は14:30。14:31発の青梅特快に乗り換え。河辺駅を先に回っておけばこれで一気に新宿まで出ることが出来たのにとがっくりするが、しかたがない。河辺到着は14:38。次の列車は14:51であるから13分の余裕がある。駅舎を出て写真を撮る。日差しはもう夕方の様相を呈しつつある。

河辺駅

河辺駅 駅名標
残る目的地は栃木県内の雀宮、烏山、氏家の3駅である。間に合うのだろうかという疑問を抱きつつ、やってきた列車に乗り込む。次の問題は、いかに早く東北本線にたどり着くかだ。
河辺駅から東北本線にアクセスするには3つの方法が考えられる。
さっきの青梅特快ならば東京または新宿まで出るのだが、この後しばらくの間は特快がなさそうなので却下。武蔵野線と八高線は連絡次第だ。拝島ですぐに八高線に乗り継げるのであれば八高線、そうでなければ武蔵野線が早そうだ。あくまで推測だが。
というようなことを河辺 - 拝島間の9分の間に考える。拝島駅到着前のアナウンスによると、次の八高線川越行きは15:01。時計を見ると15:00。ちょうどこの列車と連絡するダイヤらしい。さっきの青梅特快に接続するものだとばかり思っていたので、これはうれしい誤算である。拝島駅で下車。またもや地下の連絡通路で八高線ホームへ。
川越行き列車に乗り込んでようやく一息つけた。ここから先のダイヤは手持ちの小型全国時刻表に掲載されているので、時刻表をめくりながらこの後の計画を練る。その結果、雀宮、烏山、氏家の順番が最も早くまわれることがわかった。というよりも、これ以外の順番では今日中に帰れない。
ほっと安心したところで高麗川に到着。そのまま川越線へ入り、15:52、川越に到着。15:56発の埼京線快速 恵比寿行きに乗り換え、大宮へ。16:21発の宇都宮行きに乗車し、ひたすら北上。時間があるので持参の文庫本を読んで過ごす。しばらく本に夢中になっていたが、ふと気が付くと石橋駅に到着していた。周囲はもう真っ暗である。時刻は17:20過ぎ。もうすぐ雀宮なので、乗り過ごすとまずいと思い読書を止める。
17:30、雀宮駅に到着。宇都宮のひとつ手前だというわりにはやたらと小さい駅である。それでも自動改札なので、切符が磁気異常で自動改札を通れないことを伝え、有人改札を通してもらう。これまでの駅の中ではもっとも怪訝そうな目で見られる。でもどうしようもない。

雀宮駅

雀宮駅 駅名標
駅舎の写真を撮ったところでホームに戻り、次の17:56発の列車を待つ。列車に乗り込むと途中で遅れた旨のアナウンスがあったが、雀宮駅は定刻どおり発車した。
宇都宮で18:15発の烏山行きに乗り換え。ほとんどの列車は烏山線の始点である宝積寺駅から出るのだが、この列車は宇都宮が始発なのである。本日初の気動車だ。出発してからおよそ50分、終点の烏山駅に到着。さすがに自動改札ではない。駅を出てみると、駅以外で明かりが点いているのは駅前の交番だけである。バス乗り場はあるのだが、バスはいない。降りてきた客は次々と迎えに来た車に乗って去って行く。いまどきの駅前ではよく見られる光景だが、なにか寂しい。

烏山駅

烏山駅 駅名標
駅舎の写真を撮り、乗ってきた列車に再び乗り込む。この列車が折り返し19:21発の宝積寺行きとなるのだ。またもや気動車に揺られること約40分、宝積寺へと戻ってきた。宝積寺の隣りの駅が最後の目的地、氏家駅だ。宝積寺発20:13の列車で氏家駅へ。氏家到着は20:18。ここで最後の難関が待ち受けている。次の上り列車は20:23。これを逃すとしばらくの次の列車はこない。跨線橋をダッシュで渡り、改札口へ向かう。幸いにも有人改札しかないので、切符がいかれていることを告げる必要もなく改札を抜けることができた。
急いで駅舎の写真を撮り、再びホームへ。改札口にはさっきの列車から降りた乗客まだ次々とやってきていたので、駅員がそちらに気をとられている間に切符を出して改札を通過し、ホームへ戻る。駅名の入った看板を撮影しようとカメラを構えていると、遠くから前照灯が迫ってくるのがわかった。もう時間がない。慌ててシャッターを押す。なんとか無事に撮影できたようだ。

氏家駅

氏家駅 駅名標
これにて最終目的地の氏家駅をクリア。あとは帰宅するだけだ。なんだかんだで結構歩いたり走ったりして疲れたせいか、上野駅まで爆睡。上野駅到着は22:12、9番線ホームである。隣りの10番線の22:17発常磐線 勝田行きに乗り換える。寝過ごすとシャレにならないので、ずっと起きていることにする。そういや、最後に自転車30分があることをすっかり忘れていた。土曜の夜である。屋外はチバラギ仕様珍走団予備軍の天下だ。自転車では原チャリにすら勝てない。
どきどきしながら夜道を自転車で帰る。途中ヤバそうな連中とすれ違うこともあったが、幸い襲われることもなく無事帰宅。
なにはともあれ、これにて俺野鳥駅名巡りは終了。これがその成果である。
| かもちゃん | ![]() |
| あひるちゃん | ![]() |
| はとちゃん | ![]() |
| からすちゃん | ![]() |
| ぺんぎんちゃん | ![]() |
| かもめちゃん | ![]() |
| すずめちゃん | ![]() |
そして、最後のスーパーホリデー・パス。

スーパーホリデー・パス
お願いですから復活させてください。JR東日本様。