水戸熊谷自転車の旅

はじめに

諸般の都合により、茨城県水戸市から埼玉県熊谷市に移動することになった。

さて困った。新型コロナウイルス対策として呼びかけられていた都道府県境をまたぐ移動の自粛要請は2020年6月19日に解除されたが、新型コロナウイルスへの感染が確認された人は東京都を中心に増える一方である。できることなら都内およびその周辺地域を通らずに移動したい。移動中は誰にも会いたくないし、開放された状態で移動できたらいうことなしだ。

だったら自転車がよくね?ということで、自転車で移動することにした。

孤独と自動販売機と10時間の奮闘

2020年7月11日、水戸市の自宅を出発。時刻は7:15。国道50号バイパスを西へひた走る。小吹町入口交差点から茨城県立水戸桜ノ牧高校の前までは自転車専用レーンがあって走りやすいが、その以外の区間はただの歩道しかないので路側帯を走るしかない。まだ早い時間のせいか、車が少ないのは幸いだ。

茨城県道30号 水戸岩間線や桜川、JR常磐線を越える橋梁では車道とは別の側道を走ることになる。これがなかなか面倒だ。車には優しいが自転車や歩行者にはいまひとつ優しくない。いかにも日本の国道バイパスといってしまえばそれだけだが。

7:56、イオンモール水戸内原前を通過。平地はこのあたりまで。ここから先、筑西市までは緩やかなアップダウンが繰り返される。車道は4車線から2車線に減り、路側帯が狭くなる。自転車にとっては走りにくい区間だ。大型トラックやダンプが行き交うので気を遣う。

8:31、笠間警察署前を通過。目の前の坂から逃げるべく茨城県道1号 宇都宮笠間線へ迂回しようと考えたが、かえって遠回りになりそうなので国道50号を直進。時折ぱらついていた雨が笠間市飯合あたりから少し強まる。少し休憩しつつ様子を見ようとJR稲田駅へ。到着時刻は8:49。

駅舎には誰もいない。トイレを借り、自動販売機でタリーズ バリスタズ デミタスとすっきり河内晩柑を購入し、その場で飲み干す。さらにポカリスエットを追加で購入し、こいつはボトルゲージへ。今回の旅のコンセプトは「誰にも会わない」なので、自動販売機が頼みの綱だ。

JR稲田駅
JR稲田駅

8:58、JR稲田駅を後にする。駅を出た直後、ひとりの老婆とすれ違った。おそらく9:14発の735M 普通 水戸行きか、同じく9:14発の740M 普通 小山行きに乗るのだろう。駅舎の中で会わないでよかった。

雲行きはあやしいが、とりあえず雨は収まったようだ。天気予報によるとどこかで雨雲とすれ違うのは間違いなく、回避は不可能っぽい。どこでやり過ごすかが問題だろう。そんなことを考えつつペダルを踏む。

笠間市福原からだらだらと坂を上る。下りに転じると桜川市だ。JR羽黒駅付近でまた雨が降り出した。休憩しようと思ったが、ここは先を急ぐ。岩瀬バイパスには入らず国道50号の旧道で岩瀬の市街地へ。9:34、JR岩瀬駅入口を通過。北関東自動車道 筑西桜川ICの手前から国道50号に復帰。上野沼に向かって坂を上る。坂らしい坂はここが最後のはずだ。

ドライブイン街を越え、やってきました筑西市。水戸からおよそ50km。全行程130kmの3分の1強にあたる地点だが、アップダウン区間を終えたので気は楽だ。あとはだらだら進んでも余裕で着くだろう。そんなことを考えていたら、協和中央病院のあたりから雨脚が強まってきた。これまでの雨と違い止む気配がない。筑西バイパスの入口付近でついに本格的な雨になった。

ここで雨に遭遇するとは。どこに避難すべきか考える。目の前にヨークベニマル 筑西横島店があるが、雨宿りできそうな軒下が見当たらない。近くにある道の駅 グランテラス筑西はどんな場所かわからないので不安だ。JR下館駅ならなんとかなりそうだが、さすがに人がいるだろう。そうだ、常陽銀行 下館支店の駐車場の軒下を借りよう。あそこはビルの1階が駐車場なので屋根がある。

常陽銀行 下館支店まであと2kmもないはずだが、ものすごく遠く感じる。田町交差点をJR下館駅方面へ左折し、常陽銀行 下館支店へ。10:24、常陽銀行 下館支店の駐輪場に到着。いったん荷物を下ろし、息を整える。

常陽銀行 下館支店
常陽銀行 下館支店

雨が止む気配はない。かといっていつまでもここで雨宿りをしているわけにはいかない。天気は西から変わるのだ。早く雨雲の下から出るには西に進むしかない。意を決し、雨の中を再び走り出す。時刻は10:42。20分弱ほど休憩していたことになる。

筑西市玉戸を通過するころに少し雨脚が弱まる。だが、まだまだ雨は止まない。でもあと少しの辛抱だ。きっと。そう信じて前に進む。11:06、新川島橋に差し掛かる。この橋の西行きには歩道がなく、狭い路側帯があるだけだ。危ないったらありゃしない。4車線化の予定があるため、そのときに歩道を設けるのだろう。

結城市に入る。結城バイパス沿いにはロードサイド店が立ち並ぶ。自転車の存在が認識されていないのか、こちらの進路をふさぐように出入りする車が多くて難儀する。まあ、こんな雨の中、自転車が走っているとは思わないのだろうが。

新4号国道を越えるころ、ようやく雨が止んだ。雨雲を抜けたようだ。雨の中、常陽銀行 下館支店を出発した判断は間違っていなかった。さて、いよいよ栃木県だ。さらば茨城県。出発からおよそ70km。全行程の半分を超えた。11:38、西仁連川を越えて小山市に入る。

茨城 - 栃木県境
茨城 - 栃木県境

小山市内もロードサイド店が立ち並ぶ。信号が多く、ストップ アンド ゴーの繰り返しで消耗させられる。雨が上がったせいか、シティサイクルに乗った人々の姿もちらほら見かけるようになった。東北新幹線が見えてきた。テンションが上がる。だけど、ここはその下の東北本線との間を歩道橋で越えるのか。とほほ。

そんな光景も思川まで。小山大橋を越えると景色が一変する。ここから佐野までは田んぼの中。ストップ アンド ゴーは減るが、後ろからの車が怖い。それにいい加減疲れてきた。というわけで、道の駅 思川に立ち寄り休憩。到着は12:10。ちょうどお昼時だ。

道の駅 思川
道の駅 思川

腹が減ってはなんとやら。ここで昼食にしたい。とはいえ、できるだけ人に会わないようにする今回の旅。店内に入るわけにいかない。もっとも、それ以前に泥だらけ汗まみれなので、新型コロナウイルスに関係なく入る気はない。そこで、屋台で販売されていたじゃがいも入り焼きそばを購入。声を発するわけにいかないので、ジェスチャーだけで注文。「雨が上がってよかったですね」と声をかけてもらったが、黙ってうなずくしかなかった。不愛想で申し訳ない。

自動販売機で購入したコーラとともに、道の駅の片隅でいただく。空腹は最高の調味料というが、それを差し引いて控えめにいってもうまい。うますぎる。糖分と油と炭水化物が五臓六腑に染み渡る。あれ?このコーラ、ゼロシュガーがやないか!期待した糖分を返せ!(逆ギレ)

12:34、道の駅 思川を出発。再び国道50号へ。このあたりの国道50号は路側帯の幅が広く走りやすいのだが、右折レーンがある交差点では路側帯がなくなってしまう。かといって歩道に上がるわけにもいかないし、なかなか一筋縄ではいかない。立体交差ではいったん下りてまた上るの繰り返しなのでこれもつらい。

東武日光線を越える。ここも歩道橋か。つくづく自転車に優しくないな。ちょっと先に踏切が見えたが、あれはあれで遠回りになりそうだし、迷ったら目も当てられない。歩道橋を渡り切って再スタートを切ろうとしたら、足元から嫌な音がした。げ、チェーンが外れている。まあ、切れるよりましか。なんとかかけ直して再スタートする。チェーンかワイヤが伸び切っているのかもしれない。この先、変速は慎重にやろう。

周囲に山々が迫る。旧岩舟町だ。このあたりの国道50号はフラットで走りやすい。だが、いまひとつ足に力が入らない。だいぶ疲れてきたようだ。道の駅 みかもで休憩するか悩んだが、先を急ぎたいのと道路を横断するのが面倒だったのでスルーした。

13:33、東北自動車道 佐野ICを通過。道の駅 思川を出てからだいぶ経過していたような気がするが、1時間しか経っていない。ここは地下歩道すらなく、インターチェンジへの入口と出口を強引に渡るしかない。交通量が多いインターチェンジなのに困ったものである。

東北自動車道 佐野IC
東北自動車道 佐野IC

佐野プレミアム・アウトレットを横目に国道50号を進む。そこから5kmほど進んで栃木県道7号 佐野行田線へ。国道50号とはここでお別れだ。14:04、渡良瀬大橋に到着。さらば栃木県。そして未開の地グンマへ。埼玉県へ向かっているはずなのに、なぜグンマを通らねばならんのだ。

栃木 - 群馬県境
栃木 - 群馬県境

渡良瀬川を渡ったらこれまでの疲れが一気に噴き出してきたようだ。これがグンマの瘴気か。東武佐野線を越えるとその先には街が広がっていた。グンマのくせになんてこった。これでは自転車で走りづらいではないか。

松原1丁目の交差点を右折し、群馬県道2号 前橋館林線へ。600mほど進んだ新宿1丁目交差点を左折し、そのまま進んでいくと群馬県道7号に復帰する。ここまでとは違い、国道354号以南の群馬県道7号は自転車が走るようにできていない。車道の幅は狭く、路側帯はほどんどない。そのくせ交通量が多い。ガードレールがあるので逃げることもできない。これもグンマだと思ってあきらめる。

このようは走りづらい道も国道122号に出れば一変する。そしてグンマともお別れだ。昭和橋で利根川を渡れば埼玉県。グンマには1時間もいなかったのだがどっと疲れた。グンマの瘴気にやられたのか、道がよくないせいなのかはよくわからない。

群馬 - 埼玉県境
群馬 - 埼玉県境

14:58、道の駅 はにゅうに到着。自動販売機でサントリー 天然水サイダーを購入し、その場でいただく。なるべく端のほうで休もうと関口義明氏の顕彰碑の前のベンチに座ったら、誰かが「あゝ上野駅」が再生されるボタンを押したらしく、大音量で「あゝ上野駅」が鳴り響く。ちっとも落ち着いて休めない。

道の駅 はにゅう
道の駅 はにゅう

15:13、道の駅 はにゅうを出発。このまま国道122号を直進すると目的地の熊谷市から遠ざかってしまうので、小須賀交差点から埼玉県道59号 羽生妻沼線へ入る。本当は愛宕神社前交差点で埼玉県道7号 佐野行田線に入り、上新郷交差点から埼玉県道128号 熊谷羽生線に入ればよかったのだが、間違えて小須賀交差点を直進してしまった。

しばらく走ってから気が付く。この道、利根川につかず離れずで並走している。ということは、熊谷の市街地からどんどん離れていってしまうのでは。これはまずい。利根大橋交差点で埼玉県道306号 上中森鴻巣線に入り、南進開始。

埼玉県道306号は路側帯がまったくない。後から迫る車が私の自転車を抜かせなくていらいらしているのがわかる。そうはいってもこちらにはよけるスペースすらない。なんなんだこの道路は。この後、埼玉県内の道路は万事この調子で、大いに苦しめられることになる。

見沼中学前交差点から埼玉県道128号 熊谷羽生線へ。交通量が減ったぶんだけ埼玉県道306号よりは若干ましだが、走りにくいことは変わりない。どの道路もすぐ隣に川か用水路があり、そのせいで道幅が制限されるのだろうか。

埼玉県道128号は、その名の通りひたすら直進すれば熊谷に着くはずである。しかしながら、川や用水路のおかげでトラップが発動する。そのトラップが新忍川を渡った直後の交差点だ。道なりに進むと埼玉県道199号 行田市停車場酒巻線に入り、国道125号 行田バイパスに誘い出されてしまう。車ならそれでいいのだろうが、自転車に行田バイパスは厳しい。

というのは、行田バイパスの自転車通行可となっている歩道には草が生い茂り、まともに走ることができないのだ。場所によっては歩いて通ることすらできない。しかたがないので路側帯を走ることになるが、猛スピードの大型車が後ろから迫り、怖いったらありゃしない。それにしてもなんなんだこの草の生えっぷりは。そうか、これが埼玉県民に食わせとけって草なんだな。きっと。

上之(南)交差点から国道17号 熊谷バイパスへ。上之(南)交差点を渡る地下歩道は、バイパスが整備されてからそのまま放置されていたのではないかという荒れっぷりで、入るのがためらわれるほどだ。それでも進むしかない。

ようやく熊谷市に入った。このあたりから少し太陽が顔をのぞかせるようになった。雨が降らないのはありがたいが、直射日光はあまりうれしくない。上之交差点を左折し、熊谷市街へ。またもや道が狭い。生活道路だからしかたがないとはいえ、自転車にはかなり厳しい。そのまま道なりに進み、16:31、熊谷女子高前交差点に到着。熊谷市のほぼ中心地だ。ここの自動販売機でアクエリアスを購入し、その場で飲み干す。

目的地はもう少し先だ。慣れない熊谷市街を迷走する。17:17、目的地に到着。自転車に装着していたeTrex Legendの積算距離は130kmを示していた。当初の予定から10kmほど多いような気がするが、たぶんあちこち迷ったせいだろう。

おわりに

今回の旅で1日の走行距離の最高記録を更新することができた。ほとんど平地だったせいか、距離の割に疲れはそれほどでもなかった。ただ、7月の日差しを舐めていた。曇り時々雨という天気だからたいしたことはないと思っていたのだが、露出していた両腕が真っ黒に日焼けしてしまったのだ。湯船に腕を入れたら大惨事である。

それはともかく、これだけの距離を無事に走り切ることができた。これまで自転車とはご無沙汰の生活が続いていたが、これからは積極的に乗っていこう。

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