袋田の滝へいってみよう

はじめに

忘年会での会話。

同僚「高校のとき、自転車で袋田の滝までいったんですよ」
私「若いなあ。でも行きはいいとして、帰りはつらくなかったか?」
同僚「実は現地で疲れて動けなくなって、親に電話して迎えにきてもらったんです」

ということは、行って帰ってくれば私の勝ちということだな。

十王駅→道の駅さとみ

前述の同僚の家は日立市にある川尻港のすぐ近くだそうだ。というわけで私もその付近から出発することにした。

2011年1月3日午前10時、十王駅前を出発。茨城県道60号 十王里美線を西へ。きちんと調べたわけではないが、日立市から旧里美村に抜ける道ではおそらくこのルートが最も勾配がゆるい。へたれな私でもどうにか越えることができる。

出発から30分、たかはら自然塾(旧高原小学校)の前で最初の休憩。十王ダムから先、国道349号までの間に自販機があるのはここだけなので、いつも休憩場所にしているのだ。ごみ箱があるのもありがたい。

缶コーヒーを飲んだら再出発。日向を過ぎると本格的に山越え開始。といってもたいしたことはないのだが。サットンヒルズカントリークラブの横を抜けると、10分ほどで下り坂に転じ、国道349号まで約150mの高低差を一気に下る。下幡のストレートで48.1km/hを記録。ここは速度制限ないからスピード違反じゃないよね?

国道349号に出たら進路を北に変更。11:50、道の駅 さとみに到着。駐車場に止まっている車はそれほど多くなかったが、そこにバイクの一団がやってきてまあまあの混み具合になった。だが、さすがに自転車できている物好きは私だけのようだ。

ゲゲゲの鬼太郎のかかしの前で一休み。第23回里美かかし祭りの出品作品だったらしい。

道の駅 さとみ
道の駅 さとみ

見る角度がよくなかったのだと思うが、このかかしが鬼太郎であることを理解するのに30秒、さらにその下の白いモノが一反木綿であることを理解するのに3分ほどかかった。というのも、褌の締め方の最初のポーズに似てたので、てっきりそれかと思ってしまったのだ。ムダ知識炸裂。

その隣にはどーも君のかかしもあった。こっちはそっくりなうえにボディに「どーも」と入っているので間違えようがない。ちなみに、どちらの作品も入選作ではなかったりする。なぜここに置いてあるんだろう。

道の駅さとみ→大子町境

国道349号をさらに北進。国道461号との交差点に出る。案内標識では袋田の滝は直進となっているが、進路を西に変え国道461号へ。旧水府村へ向けて再び山越え開始。ここの勾配はきつく足をついてしまった。

12:17、北沢峠に到着。ここはかつて水府村と里美村の境だった場所だ。峠から多賀山地の山々を見る。よくあの山々を越えてきたなと我ながら感心。

北沢峠
北沢峠

旧水府村側の坂は慎重に下りる。国道のくせに県道61号よりも道幅が狭く、カーブもきつい。たまに対向車がくるし。それでも5分ほどで茨城県道33号 常陸太田大子線との交差点に出る。

ここから進路を再び北へ。この先、国道461号は道幅がさらに狭くなり集落の合間を縫うように走る。現在、改良が進められているが、いちばん狭い部分が解消するのはまだ先のことだろう。

だらだらと長い上り坂が続くががんばって走る。湯草では改良済みの道から離れて集落の中へ入り、バス停の前で休憩。念のためバスの時刻を確認する。16:02まで待てば常陸大子駅行きのバスがあるようだ。もしギブアップしても帰れるということがわかり気が楽になる。

湯草バス停
湯草バス停

この先から坂がきつくなる。11.5%の標識を見たとたんに気力が萎え、自転車から降りてしまった。このくらいの坂になると押して歩いてもたいして変わらないし。

12:50、ついに旧水府村 - 大子町境に到着。白状すると、この場所のほうが袋田の滝よりもここまで到達したという感動がずっと大きかった。それほどまでに大子町という文字は私の心に響いたのだった。

旧水府村 - 大子町境
旧水府村 - 大子町境

この先はしばらく下り坂である。体力を温存するためあまり無理はせず、のんびりと下る。袋田の滝まであと10km。ようやく射程圏内といったところか。

大子町境→袋田の滝

茨城県道22号 北茨城大子線との交差点まではほとんど下り。途中、3年半前にR2の遮熱板をひん曲げた現場を通過。あのときは大雨だったが、今日は気持いい青空が広がる。ちと寒いが。

国道461号を道なりに走れば袋田の滝だ。しかし、それでは面白くないので旧道へと入る。目指すは月居トンネル。未だに信号機による交互通行が行われている古いトンネルだ。竣工は1886(明治19)年だとか。

信号が青に変わったのを確認してトンネル内へ。トンネルの真ん中付近にぽつんと照明があるが、中は真っ暗でなにも見えない。自転車のライトは点けているものの、まったく役に立っていない。

これで対向車がきたら危険だ。あ、でもそんなときのための信号なんだよな。だったら安心。そう思ってトンネルを走りきったのだが…

月居トンネル
月居トンネル

反対側も青でした。おい。

それにしてもこの信号、感応式ではなく時差式なので、車が通らなくても黙々と変わり続ける。誰もいないのにひたすら仕事をこなす姿にちょっぴり切なくなった。

そんなセンチな気分に浸っていると、1台の車がやってきて信号で止まった。よかったな仕事ができて。この日、月居峠で出会った車はこの1台限りだった。この信号の相手は1日にどのくらいいるのだろうか。もしかしたらまったく通らない日があるのかもしれない。

トンネルを後に走り出すと眼下に大子の街が見えた。いちばん奥の山の向こうは栃木県だろうか。

月居峠から見た大子市街
月居峠から見た大子市街

この先、道が少々荒れる。落ち葉を踏んで滑らないよう気をつけて走る。坂を下りきると立派な道に出るので、それを突き当たりまで走ると袋田の滝の入り口だ。

袋田の滝入口
袋田の滝入口

自転車で行けるのはここまで。ここから先は歩いていくしかない。しかし、人が多いのと自転車を置く場所がなかったので、滝を見に行くのはあきらめた。

さて、この時点で13時半過ぎ。日没が17時とすると、暗くなるまであと4時間くらいか。往路の所用時間が3時間半。往路と同じ道をそのまま戻ればちょうどよい。だが、もう坂道を上りたくないし、鳥坂センパイの教え「一度通った道を二度通るとは言語道断」に背くことになるので、久慈川沿いに帰ることにした。

袋田の滝→平山橋

国道118号を南下する。常陸大宮までずっと下り坂だろうと思っていたら、意外と上り坂が多い。国道はしょせん車のための道で自転車にとってはきつい。路側帯は狭いし、自転車通行可となっている歩道は荒れていてかえって危険だ。

盛金付近の坂で国道118号を進む気が失せ、旧道らしき道へと逸れる。行き止まりあるいは別方向へ連れていかれるかもしれないとは思ったが、それ以上に坂を上りたくなかった。

水郡線の42kmポストを見ながら一休み。

水郡線 42kmポスト
水郡線 42kmポスト

下小川橋で久慈川を渡り下小川駅へ。少し前に上り列車が出たばかりのためか、駅には誰もいない。トイレを借りて再び出発。

駅を出るとすぐにまた久慈川を渡る。平山橋というらしい。欄干がない沈下橋なので自転車だと少し怖い。強度にも不安がありそうだが、私が写真を撮っている間に3台もの車が通過していった。

平山橋
平山橋

橋を渡ったら国道118号に復帰。少し遠回りになったものの、さっきの坂を回避できたのでよしとする。

平山橋→常陸大宮

舟生橋でまたもや久慈川を渡る。ほとんど平地になったのにどうしても足が動かない。それでも山方トンネルが見えてくると少し元気が出てきた。トンネルを抜ければ旧山方町の中心部だし、常陸大宮まであと少しだ。距離が読めると楽になる。

ミニストップ 山方中央店で休憩。お腹がすいたのでおにぎりを購入、その場で食べる。時刻は15時ちょうど。袋田の滝からここまで20kmしかないのに1時間半もかかっている。想定よりもずっとスローペースだ。このぶんだと常陸太田に着く前に日が暮れてしまう。明るいうちに国道6号まで出たかったのだが、どうがんばっても無理だ。常陸太田であきらめて水郡線で帰ることも考え始めた。

さらにもうひとつ気がかりなことがあった。それは常陸大宮の街が高台の上にあるということだ。できれば回避したい。ミニストップを出た後、そんなことをぼんやりと考えながら走っていると、茨城県道165号 山方常陸大宮線が現れた。この道なら常陸大宮市街を回避できるかもしれない。そう思った瞬間、吸い込まれるように県道165号に入ってしまった。

ところが、小貫橋を渡って集落を抜けた後にはたと気づく。この道は通ったことがある。たしかこの先で久慈川沿いの崖に沿って上っていくはずだ。それは困る。できれば川沿いの土手とか平坦なところを走りたい。そう思って県道を外れ、田んぼの中に入っていったのが運の尽き。この場所は久慈川の蛇行にともなう袋小路でどうにも先に進めない。

結局、田んぼを一周して国道118号に戻る。距離にして4km、時間にして20分のロス。日没が迫りつつある中でのこの迷走は痛い。

常陸大宮市小貫
常陸大宮市小貫

国道118号をへろへろになりながら走る。再び久慈川を渡る橋(辰ノ口橋)が見えたものの、さっき酷い目にあったばかりなので見なかったことにする。実はこの橋を渡るのが正解だったのだが、そんなことはつゆ知らず国道118号を直進。

常陸大宮市街に向かって登坂開始。体力が残っていればどうってことない坂だとは思うのだが、この時点での私にとってはかなりきつかった。それでもなんとか上りきると、そのまま道なりに進んで国道293号へ入り、進路を南から東へと変える。小貫での迷走を取り戻すかのように坂を一気に下り、富岡橋で久慈川を渡る。

常陸大宮→常陸太田

国道239号を東へ。常陸太田市境を越えた直後に日が沈む。路肩に自転車を止め、夕焼けに染まる空を見ながら休憩。空の美しさに見とれるが、それもあとわずか。30分もすれば暗闇が到来する。

常陸太田市花房町
常陸太田市花房町

花房交差点に差し掛かったとき、目の前の坂を見て嫌になる。逃げ出すように右折し、茨城県道62号 常陸那珂港山方線へ入る。田んぼの中の直線道路なので楽なのだが、どんどん自宅から遠ざかっているような気がする。ちょっと不安になったので、中野町で茨城県道61号 日立笠間線へ。

県道61号も佐竹寺の前に上り坂があったことを思い出し、また逃げるように山田川の北岸へと入る。この道は久慈川サイクリングコースの一部なので自転車で走るには最適だ。遠くに風神山が見える。ようやく日立が見えてきたという思いと、あんなに遠いのかという思いが複雑に混じり合う。

久慈川サイクリングコース
久慈川サイクリングコース

サイクリングコースを10分も走ると県道62号に出た。あれ?

河合駅の手前から田んぼの中の道へと入る。数台の車が走っているので近道かと思いきや、路面は荒れているし外灯はないしでさんざんである。このあたりで完全に日が落ち、周囲は真っ暗。身の危険を感じたので国道349号の旧道へ出る。

そこまではよかったが、なにを思ったか磯部町で国道349号のバイパスへと出てしまった。バイパスは一見明るそうに見えるものの、それは車のライトが照らす範囲だけであって自転車からだとなにも見えない。さらに、日立電鉄線の跡を越える跨線橋があるため、余計な坂を上るはめになった。

三才町から再び国道293号へ。ここから先の道はほとんど知っているし距離感もある。ようやく自転車を放棄せずに帰宅できそうな目処が立った。

常陸大宮→自宅

国道239号に入ってしまえば楽勝だと思っていたが、その考えは甘かったようだ。路側帯が狭くて交通量が多い上に、照明がないので路肩になにか落ちていてもわからない。かといって国道293号を外れるほどの度胸もない。国道293号から北の道は平坦ではないし、南に外れると自宅が遠のく一方だ。

セブン-イレブン 常陸太田岡田町店で食料を調達。ついでにホカロンミニを2個購入し、手袋の中に入れる。風が当たる手の甲に当たるように配置。こうすれば風よけにもなる。17:52、セブン-イレブンを出発。

またもや日立電鉄線跡を跨線橋で越える。日立市へ入るとすぐに国道293号を離れ、日立電鉄線跡沿いに走る。石名坂を上って国道6号へ。諏訪五差路から油縄子小学校前、茨大工学部前と経由してけやき通りを走る。坂の多い日立市内において、このルートが最も坂が少ないような気がする。

国道交通省前からは国道6号を道なりに走って帰宅。自宅への到着は19:50。十王駅を出てからちょうど10時間。eTrex Legendによると、停止時間を除いた所要時間は9時間28分、走行距離125kmと記録されていた。1日の走行距離としてはこれまでで最長だ。翌日、筋肉痛に襲われると思ったが、たいしたことがなかった。このぶんならまだいろいろと挑戦できそうだ。

というわけで、次回の旅も自転車にしよう。さて、どこがいいかな。

おわりに

新年会での会話。

私「袋田の滝まで自転車で行ってきた。もちろんきちんと帰ってきたぞ」
同僚「相変わらずバカですね。あなたには勝てる気がしませんよ」
私「勝って勝って勝ちまくって今のわたしがあるのです!」
私「これからは定冠詞をつけて"ザ·OB"と呼んでいただきたい」
同僚「OB?会社辞めるんですか。いままでお世話になりました」

あれ?勝ったはずなのになぜ?

[先頭に戻る]

Copyright (C) 2011-2024 烏合総合研究所