沈下橋。平常時は橋として機能するが、増水時には水面下に沈んでしまう橋である。増水時は濁流にのまれる前提のため、欄干がまったくないかあってもしょぼかったり、水面が近いという特徴を持つ。
沈下橋のメリットは、水面近くにつくるため橋を短くすることができ、建設費を抑制できるという点にある。欄干が不要ということも低コストに寄与しているだろう。流されることが前提になっている場合もあり、流れたらまたかけ直せばいいやという発想の橋なのである。
その反面、転落事故が起きやすかったり、増水時の通行の判断は使用者に委ねられるというスパルタンな橋でもある。そんなのは前世紀の遺物と思われるかもしれないが、日本中にはこのような橋がまだまだ残っているらしい。
そんな沈下橋が近所にあるというので見物してきた。
2009年8月11日。カメラを担ぎ、久慈川の支流である里川に架かる新落合橋へ。里川の左岸、常陸太田市落合町から橋を目指す。堤防には通行止めのバリケードがあって車両は入れないので、徒歩で向かう。
橋の両端にバリケードがあったが、脇によけられて通行できるようになっていた。重量制限2.0t。幅員制限はなし。

新落合橋
平成21年台風第9号の影響による昨日までの雨のせいか、橋脚には流れてきた植物がたくさん絡みついていた。とはいえ通行に支障はないので、歩いて対岸へ。
里側の右岸の堤防を上るとすぐに久慈川だ。ここには落合橋が架かっている。

落合橋
新落合橋と同じように草木が絡みついている。里川に比べると水量が多く、水面が近い。おそるおそる近づいてみる。落合橋も重量制限2.0t。さらに幅員制限のポールが立っている。滑らないよう気をつけつつ橋に足を踏み入れる。

重量制限と幅員制限(常陸太田市側)
「冠水時 通行止」とあるが、冠水してないくても夜は通りたくない。周囲に照明とかないし、転落したら終わりである。
橋の半ばまできたとき、思っていたよりも事が重大であることがわかった。流木が邪魔で対岸へ行けない。

行く手を遮る流木
無理をすれば進めないこともないが、川に落ちたら一巻の終わりだ。それを考えると進む気にはなれない。橋脚の周りの渦を見ているだけでお腹いっぱいだ。

橋脚周りの流れ
落合橋の渡河はあきらめ、国道349号の幸久大橋で久慈川を渡り、対岸の那珂市額田東郷へ。こちら側にも重量制限と幅員制限がある。橋の手前に泥濘があり、橋にたどり着くまで苦労した。

重量制限と幅員制限(那珂市側)
泥の中には靴跡が続いており、私の前にも誰か橋を見にきた人がいるらしい。そしてなぜか、橋の上に打ち上げられたと思われる魚が並んでいた。

打ち上げられた魚
人為的に並べられたようだ。足跡の主の仕業だろうか。私は魚について詳しくないので断言できないが、大きいのがブラックバス、小さいのがニゴイっぽい。それにしてもなんでこんなところに。
ここらでまた天気があやしくなってきたので急いで撤収。本当は橋が沈んでいるところか、車で橋を渡っているところを撮りたかったのだが、どちらも達成できなかった。いずれ機会を改めて再チャレンジしてみよう。