PC-9801UV11は、1988年3月に発売された98シリーズの一機種である。A4ファイルサイズ(W305mm×D240mm×H87mm)のコンパクトな筐体、FM音源搭載、当時としては安価な定価265,000円といったあたりが魅力だったらしい。
私の個人的な印象だが、1990年代末ころには、古い機器の制御用PCとして余生を送っている機体をよく見かけたような気がする。その役割もPC/AT互換機の普及で余剰となったMATE/FELLOWシリーズに取って代わられ、いつの間にか姿を見なくなった。
そしてPC98シリーズの黄金時代も忘れられつつある日、ひょんなことからPC-9801UV11を手に入れた。とはいえ、いまどきFDDしか使えないUV11の使い道が思いつかない。当研究所はPC-486SRを保有しており、98DOS環境はこれで間に合っている。そこでいろいろ考えた末、PC-9801UV11をPC/AT互換機化することにした。
改稿(2019年6月11日)
Webサイト移転にともなう掲載記事の見直しの一環として本記事を復活させたが、内容を見直し初稿から大きく改稿した。写真も一部差し替えている。
コンパクトなUV11の筐体に収めるため、できるだけ小型、薄型のパーツを選んだ。ただし、予算の関係からなるべく一般的なもので構成し、手持ちのパーツが流用できる場合はそれを使うことにした。
パーツ構成を以下に示す。細かい部材は省略している。
鍵となるパーツは、FlexATX規格のマザーボード Shuttle FE22と、電源 DELTA DSP-100LBAである。この組み合わせであればUV11の筐体に収めることができる。また、高さを抑えるために、CPUクーラーは1Uラックサーバ用のもの、メモリは手持ちでできるだけ背が低いものを用いた。
設計上、HDDは3.5インチでも使えるのだが、手元には2.5インチのIBM DKLA-22160しかなかったため、変換マウンタを利用して取り付けている。
FDDは2モードである。98シリーズで広く使われていた1.2Bフォーマットのフロッピーディスクの読み書きができないが、予算の都合で妥協した。
まずはUV11を分解する。基本的に筐体しか使わないので、中身はほとんど廃棄した。流用した部品はスイッチ類とPower LEDくらいである。

筐体下蓋とフロントパネル
UV11の筐体に開けれられているねじ穴は、マザーボードや電源のねじ穴の位置とまったくあわない。そこで、内部フレームを作成してそこに各パーツを固定し、内部フレームは筐体のねじ穴を利用して筐体下蓋に固定することにした。

内部フレーム
内部フレームのベースとなるのは厚さ1mmのアルミ板である。電源スイッチはUV11と同じ位置になるようにアルミアングルで部品を作って取り付けた。
キーボードとマウスのコネクタは、自作の延長ケーブルでマザーボードの背面からフロントパネルに引き出した。キーボードはUV11、PC/AT互換機ともにミニDINコネクタなので、単純に延長すればそのままPC/AT互換機用のキーボードが使える。一方、マウスコネクタはUV11と同じようにD-subに変換してしまったので、D-subからPC/AT互換機用のミニDINに再変換するケーブルを自作して対応した。

D-sub - PS/2変換ケーブル
ディップスイッチがあった場所にはUSBコネクタを設置した。リセットスイッチはマザーボードに接続したが、クロック切り替えスイッチは見た目だけのダミーである。側面のオーディオ出力端子も未接続だ。

内部フレームの設置と各種ケーブルの接続
電源はマザーボードの横に、FDDとHDDはマザーボードの上に設置した。FDDとHDDはアルミアングルを介して接続されている。FDDはもとのドライブ1(上側)があったところに収めた。ドライブ2(下側)はフロントベゼルだけ取り付け、HDDのアクセスランプを取り付けた。

電源とドライブ類の設置
最後に背面パネルを取り付け、上蓋を閉めると完成である。電源スイッチを押して起動を確認する。ディスプレイがNEC N5913なので、より98らしく見える。キーボードとマウスもそろえれば完璧なのだが、残念ながら信号変換回路を準備できるほど当研究所の技術力は高くない。

起動中
背面はアルミ板で作り直した。UV11に比べるとシンプルで、もの足りないような気がする。型名や製造番号のような文字を入れればそれらしくなるのかもしれないが、そこまでする気力がなかった。

背面
キーボードとマウスのコネクタを前面に引き出すケーブルがいったん外に出る形になっているのが少々残念に思える。これを解消するには、マザーボードからコネクタを外し、延長ケーブルを直接はんだ付けすればよいのだが、さすがにその度胸も技術力もない。
異機種改造のお約束、改造前後で性能を比較してみる。
| 項目 | 改造前 | 改造後 |
|---|---|---|
| CPU | V30 (10/8MHz) | Celeron (566MHz) |
| ROM | N88-BASIC(86) & モニタ 96KB | - |
| RAM | 640KB | 128MB |
| FDD | 3.5インチ×2 | 3.5インチ×1 |
| HDD | - | 1.6GB |
| VRAM | 256KB | メインメモリの一部を占有 |
| グラフィック | 640×400 最大16色/4096色中 | 最大1600×1200/256色または1280×1024/1677万色 |
| サウンド | FM音源3音+SSG3音 | AC'97 Rev2.1準拠 |
| 拡張スロット | Cバス×2 | - |
| その他のインターフェース | プリンタ(セントロニクス準拠) RS-232C(〜9600bps) 1M FDD モノクロCRT I/F デジタルCRT I/F | USB×4(前面×2/背面×2) LAN(10BASE-T/100BASE-TX) COMポート フラットパネルディスプレイ I/F |
CPUが速くなってメモリが増え、HDDが新設されただけで、あまり変わっていないような気がする。しかも、これらはWindowsを動かすために必要なだけだったりする。拡張スロットがなくなったのはむしろ後退ともいえよう。どちらもビデオ出力が複数あるのは偶然の一致だと思うが、滅多なことでは使わないという点まで一致している。
こうして生まれ変わったPC-9801UV11改だが、CPUクーラーが素晴らしい爆音を奏でてくれるため、「実用機にあらず」との評価になり、そのままお蔵入りしてしまった。たまに人に見せびらかしたりもするのだが、UV11でWindowsが動いていることの不自然さに気が付いてくれる人が皆無なので、これまた役に立たない。
というわけで、当研究所のPC-9801UV11改は、いまも押入れの片隅で惰眠をむさぼる毎日。なんのための改造だったのやら。
追記(2019年6月11日)
本機は2014年末の転居時に廃棄しました。