goo g02 五代目車載GPS

はじめに

2016年7月1日、ついにその時がきた。この日に発売となったスーパーマップル・デジタル17に、前バージョンまで付属していたPocket Mapple Digitalが入っていなかったのだ。Windows Mobileは事実上終息しており、提供中止は当然だろう。残念だがしかたがない。ひとつの時代が終わりを迎えたのだ。

とはいえ、スーパーマップル・デジタルが携帯端末への対応をやめたわけではない。2012年発売のスーパーマップル・デジタル13からAndroid OSへの対応が始まり、2014年発売のスーパーマップル・デジタル15ではiOSにも対応するようになった。

そういうわけで、この機会に当研究所の車載GPS環境をスーパーマップル・デジタル for AndroidとAndroid端末 goo g02の組み合わせに移行することにした。

千束池緑地(茨城県水戸市)にて
千束池緑地(茨城県水戸市)にて

goo g02

goo g02は、NTTレゾナントが販売していたスマートフォンである。画面サイズは5インチ、画面解像度は1280×720(HD)だ。メモリはRAMが1GB、ROMが8GBで、OSはAndroid 5.0である。AmazonマーケットプレイスのモバイルAKIBAにて、中古機を16,000円で購入した。

本機を選んだ最大の理由は、OSがAndroid 5.0だったことだ。スーパーマップル・デジタル for Androidの推奨環境はAndroid OS 4.0 - 6.0(2016年8月3日現在)なのだが、手軽な中古機が多い4.4は既知の不具合が多くて使い物にならず、登場から日が浅い6.0は手が出る価格ではない。消去法的に5.0の端末から選ぶしかなく、その中で見つけたのが本機だったのだ。

結果として、現在スマートフォンとして使用中の機種と同じになったが、それはたまたまである。しかし、よく考えてみたら、スマートフォンとして使用中の機体を車載GPSに回し、スマートフォンを最新の機種に買い換えればよかったような気がしないでもない。

スーパーマップル・デジタル for Android

スーパーマップル・デジタル for Androidは、昭文社のPC用地図ソフト スーパーマップル・デジタルに付属するAndroid端末用の地図アプリケーションである。

付属といいながら、アプリ本体はGoogle Playからインストールできる。Google Playで「スーパーマップル・デジタル」とか「昭文社」で検索すると、スーパーマップル・デジタル for Androidが見つかる。本稿執筆時(2016年8月3日)のバージョンは5.0.0だ。通常のアプリと同じようにインストールすればよい。ただし、これでインストールされるのはアプリ本体だけなので、地図はPCのスーパーマップル・デジタルから別途切り出してインストールする必要がある。

スーパーマップル・デジタル for Android
スーパーマップル・デジタル for Android

地図をスーパーマップル・デジタルから切り出す作業は、Pocket Mapple Digitalとほぼ同じである。スーパーマップル・デジタルを起動し、出力→スマートフォンと進み、出力したい都道府県と出力する地図の種類を選択する。出力先フォルダは適当に設定して、「Android」ボタンを押せば出力される。ここでは都道府県を「全国」(全島道府県にチェックが入る)、地図の種類は「詳細」にした。容量は約8GBになる。

スマートフォン用地図・検索データ出力
スマートフォン用地図・検索データ出力

地図データは上記で設定したフォルダの[Android]フォルダに入っている。この[Android]フォルダをmicroSDメモリカードのルートにコピーし、microSDメモリカードをgoo g02に取り付ければ地図のインストールは終了だ。内部ストレージにコピーしてもいいらしいのだが、いろいろ面倒そうなのと、T-01Aで使っていたmicroSDメモリカードが流用できるので、今回はmicroSDメモリカードへインストールした。まっさらなmicroSDメモリカードでない場合、最初から[Android]フォルダがある場合があるが、その場合は上書きコピーでよい。

Pocket Mapple Digitalでは住所検索データベースと駅名検索データベースを別途インストールしていたが、スーパーマップル・デジタル for Androidでは地図データと同時にインストールされる。Pocket Mapple Digitalでこれらのデータベースが別になっていたのは、ストレージ容量が小さかったPcoket PC時代の名残だろう。

車載GPSとしての設定

goo g02の設定は、基本的に通常のスマートフォンと同じである。特筆すべきことがあるとすれば、車載GPS環境に向けたアプリとして、すくりーんすいっちを導入したことくらいだ。これは、運転中に画面の消灯を防ぐためのものである。

Windows Mobileは、通電時(エンジンがかかっているとき)は常時点灯、非通電時(エンジンを切ったとき)は一定時間後にスリープに移行という動作がOSの設定だけで簡単に実現できたのだが、Androidでは通電時に常時同じ明るさで点灯という動作ができない。開発者向けオプションでスリープモードの解除はできるものの、一定時間後に画面が暗くなってしまう。Androidの設定だけではどうしようもなく、このようなアプリの手助けが必要だ。

すくりーんすいっち
すくりーんすいっち

すくりーんすいっちのオプションは「充電中のみ」「全開」に設定した。これで通電時は同じ明るさで常時点灯、非通電時は一定時間後にスリープに移行になる。

このようなアプリはほかにもあるが、当研究所の環境ではすくりーんすいっちがもっとも使い勝手がよかった。Androidのバージョンや機種によっては別のアプリが適しているかもしれないので、いろいろ試してみるとよいだろう。

追記(2016年8月18日)
goo g02の位置情報がデフォルトの「高精度」の場合、一定時間毎に一瞬だけ位置が100m程ずれるという現象が生じていたが、「端末のみ」に変更するとこの現象は収まった。推測だが、「高精度」ではWi-Fiやモバイルネットワークも利用して位置情報を取得しようとするため、SIMを挿していない本機では情報が得られず、かえってずれが生じてしまうようだ。SIMを挿したときの動作については、本研究所では未確認である。

車内への設置

これまで、当研究所の公用車であるスバル R2では、車載GPSを運転席のドア側のエアコン吹出口に設置して運用してきた。この場所は利き手の右手で操作できるので使い勝手がよく、気に入っていたのだが、今回の更新にともない、1DINスペースに変更することにした。

槌屋ヤック スマホホルダー VPD10と小物入れ VPD5をベースとなる1DINボックス VPD1に取り付け、VPD1をR2の上側の1DINスペースに取り付けた。下側の1DINスペースにはcarrozzeria DEH-970が収まっている。goo g02を装着したままDEH-970のフロントパネルを開閉させるには、上段をVPD1、下段をDEH-970とするしかない。

スマホホルダー VPD10
スマホホルダー VPD10

電源は、助手席足元に増設したアクセサリーソケットに増設したUSB電源である。GoSafe 381と共通のものだ。給電ケーブルはエレコムのU2C-AMBX10BK。長さ1m、直径2.5mmの極細USBケーブルである。VPD1の背面からインパネの裏を通してgoo g02とUSB電源をつなぐ。

USBケーブルによる配線
USBケーブルによる配線

VPD10にgoo g02を取り付ける。これまでの車載GPSでは端末を縦置きで運用していたが、VPD10の形状を考慮して横置きにしてみた。縦置きを前提としたユーザインターフェースのPocket Mapple Digitalとは異なり、スーパーマップル・デジタル for Androidは横置きでも運用しやすい。

goo g02の取り付け
goo g02の取り付け

VPD10は、取付部の回転だけでなく、手前への引き出し、奥への引き込みもできる。ぎりぎりまで引き込んでgoo g02の底面をインパネにくっつけるようにすると走行時に振動しにくくなるが、DEH-970のフロントパネルが開けられなくなってしまう。とはいえ、それほど頻繁に開閉するわけではないので、ふだんは引き込んで運用し、フロントパネル開閉時に引き出すようにすればよいだろう。

使用感

常磐自動車道 東海パーキングエリア(上り線)に車を止め、画面をキャプチャしてみた。地図スタイルはでっか字に設定、表示の向きはノースアップ固定である。ノースアップ固定は個人的に使いやすいというだけなので、一般的なカーナビと同じように進行方向を常に上向きにするなら、ノースアップ固定を解除し自動回転にすればよい。

東海パーキングエリア(スケール表記100m)
東海パーキングエリア(スケール表記100m)

東海パーキングエリア(スケール表記200m)
東海パーキングエリア(スケール表記200m)

東海パーキングエリア(スケール表記500m)
東海パーキングエリア(スケール表記500m)

東海パーキングエリア(スケール表記1km)
東海パーキングエリア(スケール表記1km)

「速度と標高を表示」、「GPS衛星情報を表示」をオンにしているので、それぞれ画面右下、右上に表示されている。好みの問題ではあるが、これらが表示されていても地図が見にくくなることはなさそうだ。スケール表記200m、500m、1kmでは右側に+-のボタンが出ているが、これは画面をタップすると出てくるもので、一定時間後に消え、スケール表記100mのような画面になる。

次に、スリープへの移行とスリープからの復帰を試してみた。エンジンを止めると、goo g02は15秒(Androidのデフォルト値)後にスリープへと移行した。この状態でエンジンをかけると、goo g02はスリープから復帰し、再びスーパーマップル・デジタル for Androidの画面になった。なにもしなくてもGPSとの連携は継続するようだ。

Pocket Mapple Digitalと同様にログの取得もできる。ただし、Pocket Mapple Digitalのように独自形式のカスタム情報ファイル(*.rcm)ではなく、NEMAデータから日時、位置、高さを抽出したテキストファイル(*.log)となる。もちろん、NMEAフォーマットでの保存も可能だ。

見た目やインターフェースはPocket Mapple Digitalとはかなり異なるが、ほぼ直感的に使える。これなら問題なく使えそうだ。

歴代車載GPSとの比較

これまで当研究所で車載GPSとして運用してきた端末は、古い順からCASIOPEIA l'agenda BE-500、iPAQ h2210、Mio P350、T-01である。残念なことにiPAQ h2210以前はデータが残っていないため、Mio P350以降のPocket Mapple Digitalと今回の環境での違いを比べてみた。具体的には、駅名検索でJR中部天竜駅を選択した画面の比較となる。

まずはMio P350+Pocket Mapple Digital 12。画面サイズは3.5インチ、解像度は320×240である。中域図 1/35,000を表示させた画面をキャプチャしてみた。

Mio P350+Pocket Mapple Digital 12
Mio P350+Pocket Mapple Digital 12

次はT-01A+Pocket Mapple Digital 13。画面サイズは4.1インチ、解像度は800×480。こちらも同じく中域図 1/35,000を表示させた画面である。見える範囲がずいぶん広がっていることがわかる。ただ、画面サイズは3.5から4.1インチとそれほど大きくなっていないので、P350に比べると文字が小さくなってしまうのが難点だった。

T-01A+Pocket Mapple Digital 13
T-01A+Pocket Mapple Digital 13

最後はgoo g02+スーパーマップル・デジタル for Android。画面サイズは5インチ、解像度は1280×720。T-01Aとほぼ同じ範囲となるように縮尺を調整した。

goo g02+スーパーマップル・デジタル for Android
goo g02+スーパーマップル・デジタル for Android

こうして並べてみると、Mio P350とは隔世の感がある。Mio P350でも当時はかなり見やすいと思ったのが、いまではかなりしょぼく見えてしまう。また、T-01Aに比べると全体的に表示がなめらかで、特に文字が見やすい。

インターフェースもかなり違う。いかにもPocket PCなツールバーがなくなり、すっきりした画面になった。かといって操作で戸惑うこともない。Androidの操作に慣れていれば直感的に操作できるだろう。

おわりに

運用開始から1週間、いまのところトラブルはない。イグニッションに連動して画面のオン/オフもきちんと動作している。ただ、昼間の高温になる車中にgoo g02を置きっ放しにしているので、熱でやられるのではないかと心配だ。せっかく簡単に取り外せるようになっているのだから、車を離れるときは外して車外に持ち出せばいいのだが、面倒なのでやっていない。

スーパーマップル・デジタル for AndroidはPocket Mapple Digitalの忠実な再現を目指したのではなく、Androidに適した形の新たなアプリケーションとして開発されているように感じた。これはいい方向だと思う。現在の感覚では使いやすいとはいえず、利用経験者がごく少数に限られるWindows Mobileに合わせるくらいなら、多くの人が使っているAndroidに合わせるべきだろう。

そして、もうひとつPocket Mapple Digitalから改善された点がある。マニュアルがわかりやすいのだ。これまで、Pocket Mapple Digitalの記事を書くたびにマニュアルへの不満を述べてきたような気がするが、スーパーマップル・デジタル for Androidのマニュアルに関しては不満はない。私見だが、アプリケーションに関するマニュアルとしては、できがよい部類に入ると思われる。

さて、これからしばらくの間、少なくとも数年はスーパーマップル・デジタル for Androidを使うことになるだろう。車載GPSは当研究所の活動に不可欠であり、そのニッチな要求に応えられる解がほかに見つかりそうにない。

最後に、これまでお世話になったPocket Mapple Digitalとその開発陣にお礼を述べてこの原稿を締めくくりたい。12年もの長い間、本当にありがとうございました。

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